フランチャイズによる探偵業の開業手順と初期費用・将来性も解説
テレビのドラマなどでは主人公として活躍するシーンがよく見られるのが探偵業です。
近年、昔ながらの浮気調査や素行調査などと並行して、ストーカーや盗聴の調査など探偵業のニーズが高まっているといえるでしょう。
では、実際に探偵業を事業として行おうと考えたとき、どの程度の収益を上げることができるのでしょうか?
また、開業にかかる費用はどの程度かかるのか?顧客層はどのような人が利用するのかといった部分も気になる点です。
この記事では、探偵業をフランチャイズで開業する需要などについて解説します。
目次
探偵業の将来性は?
まず探偵業を開業するにあたり、将来性の分析は必須です。
開業するならば将来性のある事業に取り組みたいと思うのは当然でしょう。
では、探偵業にはどのような需要があり、将来性は明るいのでしょうか?
探偵業の将来性について解説します。
(1)年間の依頼件数は300万件 しかしこの件数をさばききれていない
現在、探偵業を行っている会社は全国で約5,600社あります。
多くは個人経営が多いのですが、法人団体も30社ほど登録されているのが現状です。
この5,600社の中で、年間300万件もの依頼数を取り扱っています。
依頼件数が非常に多く、現在の会社数ではさばけないくらい依頼が来ているといわれているのです。
今後も依頼件数は増えてくるといわれており、現在のスケールではとてもすべての依頼に対応できなくなるでしょう。
そのため、まだまだ新規事業として取り組むには十分な顧客層が潜んでいるといえるのです。
将来性有望な事業といえます。
(2)景気に左右されない職業、需要は常にある仕事
探偵業の特徴としては、景気に左右されにくい職業といわれています。
というのも、探偵業の7割程度は浮気調査や素行調査がメインで、景気に左右されず常に一定の需要があるのです。
常に安定した需要があるというのは、事業にとっては大きなメリットとなりますので、探偵業は比較的安定しているといえるでしょう。
フランチャイズによる探偵業の平均年収はどれくらい?
実際に探偵業を開業しようとした場合、どの程度の収益を上げることができるのかという点が最も気になるポイントです。
ここからは探偵として仕事を行う場合の年収や、開業した場合の年商などについて解説します。
(1)平均年収は450万円前後 大手事務所程高くなる傾向
一般的な探偵業の年収は、450万円程度といわれています。
しかし、キャリアや所属する企業などによっても、この年収は変動するといえるでしょう。
一般的に大手の探偵社ほど年収が高くなり、都心部の方が依頼数も多く、それに伴い年収が高くなるといわれています。
比較的息の長い仕事でもあり、経験も大きく影響するといえるのです。
(2)都心部での開業や、複数人雇うことで年収は増える
前述しましたが、開業するならばやはり依頼件数が多い都心部がおすすめです。
依頼数が多くなると、雇い入れる探偵の数も多くなり、収益増が見込めます。
特に依頼件数が非常に多いことからも、経験豊富な人を雇うことで、大幅な収益増が見込める事業だといえるでしょう。
しかし、都心部だけではなく、地方でも一定数の依頼はありますので、エリアごとに進出して収益アップを狙うことでの収益増も可能です。
開業した場合の初期費用やロイヤリティを見てみよう
ここまでは、探偵業に関する収益について解説しましたが、次に気になる点が開業する場合の初期費用やランニングコストです。
特にフランチャイズに加入すると、気になるのが加盟店料やロイヤリティ。
加盟店料とは、フランチャイズに加盟したときにフランチャイズ本部に支払う入会料といった位置づけになります。
また、ロイヤリティは、大手フランチャイズの経営ノウハウや看板が利用できる代わりに使用料としてロイヤリティを支払う必要があります。
ここからは、探偵業を行う場合のコストについて解説しましょう。
(1)探偵業を開業する初期費用は
まずは探偵業を開業する場合の開業資金について解説します。
フランチャイズの募集を行っている企業の想定しているモデルケースを見てみましょう。
A社 | B社 | |
加盟金 | 150万円 | 50万円 |
研修費用 | 50万円 | 40万円 |
開業サポート(教材、販促) | 20万円 | 10万円 |
計 | 220万円 | 100万円 |
この費用には店舗の取得費や、機器の設置費用が含まれていませんので別途店舗取得費が必要です。
探偵業のフランチャイズは、加盟金もあまり高額ではなく、研修費用も妥当な金額といったところでしょう。
他のフランチャイズ事業と比較しても比較的取り組みやすい業界といえるでしょう。
このようにフランチャイズによって初期費用は大きく変わりますので費用面からの分析も大切です。
(2)フランチャイズに加盟するロイヤリティは?
次に気になる点がランニングコストです。
前述したロイヤリティも含めたランニングコストは下記がモデルとなります。
ロイヤリティ | 月間売り上げの5%程度 |
商標の利用料 | 3万円 |
人件費 | 50万円(2名雇用) |
広告費 | 20万円 |
経費 | 10万円 |
月商が300万円の場合ロイヤリティは、15万円となりますので、約100万円がランニングコストです。
売上が悪ければロイヤリティは安くなるので、経営になるべく負担がかからないような設定となっています。
ロイヤリティや広告費などはフランチャイズによって異なりますので、個々の部分においても初期費用同様、複数のフランチャイズから選択することがポイントです。
フランチャイズによる探偵業の開業手順
ここまでは、探偵業を開業した場合の収入や開業にかかる初期費用について解説しました。
次に気になる点が開業までの手順です。
探偵業をフランチャイズで開業した場合、どのような手順が必要なのでしょうか?
探偵業を開業する手順について解説します。
(1)資料の請求から面談
気になったフランチャイズ本部が見つかると、まずは資料の請求です。
資料で詳しい情報を確認し、希望に合ったフランチャイズ本部が見つかったら面談し、審査になります。
(2)審査
フランチャイズは申し込んだら誰でも加盟できるわけではありません。
フランチャイズとしてふさわしいかどうかが本部から審査されます。
フランチャイズ本部もこれからパートナーとして付き合っていけるかどうかの判断を行う必要がありますので、審査の結果不合格になるかもしれません。
(3)契約
審査が通るとフランチャイズ契約を締結します。
(4)準備
店舗の取得や機器の設置などの開店準備と、開業の届け出が必要です。
(5)研修
事前研修が8日間 OJT研修が数日間の研修を行います。
運営ノウハウなどをしっかりと身につけなければいけません。
(6)開業
早めの黒字化を目指しましょう。
探偵業の開業に必要な資格や技術はなに?
探偵業の開業まで複数のステップにより開業にこぎつけます。
手順は上記で解説しましたが、開業にあたり資格や届け出は必要なのでしょうか?
もし何か資格などが必要であれば開業の時期が延びるかもしれません。
ここからは、開業について必要な資格や届け出について解説します。
(1)資格は特に必要ないが経歴によっては開業できない可能性もある
探偵業の開業にあたり、特に必要な資格はありません。
つまり未経験からの参入も可能です。
しかし、経歴によっては開業できない場合があります。
どのようなケースかというと、禁固以上の刑に処せられた場合や、破産などのあと一定期間は、探偵業による開業はできません。
刑事事件に絡むようなケースがあるので、以前、犯罪を行ってしまった人たちには、一定期間の制限を与えています。
(2)公安委員会へ探偵業の届け出が必要
探偵業を開業するには開業届の提出も必要です。
その開業する場所の公安委員会に開業の届け出を行います。
開業する前日までにエリアの警察署署長を通じて公安委員会へ届け出を行わなければいけません。
届け出後、探偵業届出証明書が交付されますので、店舗のわかる場所に掲示しておくと顧客の安心度に繋がります。
探偵業を利用する対象の顧客層
探偵業を開業する場合、どのような顧客層をターゲットにしておくといいのでしょうか?
そもそもどのような内容の依頼が多いのでしょうか?
ここからは探偵に多い依頼や顧客層について解説します。
(1)多くは浮気や不倫調査
以前も近年も変わらず、最も多いのは浮気調査や不倫調査です。
特に、離婚したい場合などの証拠集めに探偵に依頼するケースが多いようです。
また不倫調査の場合、相手方に慰謝料を請求するときも証拠集めとして利用されています。
依頼内容について、大きな変化はありません。
(2)近年はストーカーや盗聴の調査も多い
しかし近年急激に増えた依頼が、盗聴器調査やストーカーの調査です。
なかなか警察が介入できない中、探偵にこのような依頼を行い、証拠を集め自己防衛している依頼者が多いのです。
フランチャイズで探偵業を開業するメリット
探偵業は比較的安定しており、現在の依頼数に対し探偵社の数が足りないといわれています。
つまり今から参入しても、需要は多いとの想定なのですが、ここで気になるのが、フランチャイズに加盟した方が良いのか、自主独立した方が良いのかといった点です。
フランチャイズにはさまざまなメリットがある反面、注意点もあります。
ここからはフランチャイズに加盟するメリットや問題点について解説しましょう。
(1)運営ノウハウがしっかりしている
フランチャイズに加盟する最も大きなメリットは、しっかりした運営ノウハウを利用できるという点でしょう。
探偵業としてパッケージ化した運営マニュアルを利用しながら経営が可能です。
フランチャイズの運営ノウハウは、いくつもの成功事例をパッケージ化したものなので、基本的には、同じように活用すればうまくいく確率が非常に高いといえるのです。
このような運営ノウハウを自由に活用できる点は大きなメリットといえるでしょう。
(2)研修サポートが充実している
運営ノウハウがしっかりしていても上手く伝えることができなくてはなにもなりません。
フランチャイズは、本部の知名度などを提供するビジネススタイルなので、うまく運営できなければ本部の名前にも傷がつきます。
そのため、研修サポートを充実させ、どのフランチャイズでもきちんと運営できるようにしているのです。
逆にサポートが充実していなければフランチャイズを解除されたり、探偵業から撤退したりといったことになりますので、そのような企業は避けましょう。
フランチャイズで探偵業を開業する問題点・失敗を避けるコツ
フランチャイズは良いことばかりではありません、注意しなければいけないこともありますので注意点をしっかり分析し対策する必要もあります。
また、注意点も理解した上で、フランチャイズに加盟するかどうかを決めなければいけません。
ここからは、フランチャイズに加盟する注意点について解説します。
(1)ロイヤリティがかかる
フランチャイズは本部の経営ノウハウや看板が利用できる反面、ロイヤリティがかかります。
一般的には売り上げに対する割合が多く、前述しましたモデルケースでは5%のロイヤリティでした。
5%なのでそうたいしたことはないと思いがちなのですが、損益分岐点が高くなってしまい開業当初の安定していない時期には非常に厳しい支出となるかもしれないことを念頭に置きましょう。
(2)トラブルに巻き込まれる可能性がある
フランチャイズだからというわけではありませんが、探偵業はトラブルに巻きこまれてしまう可能性もあります。
特に、フランチャイズに加盟すると、まだキャリアが浅い時期からも依頼数は一定数が想定されますので、トラブルが起きやすいといえるでしょう。
研修をしっかりと活用することや、少し危ないなと感じたら早めにフランチャイズ本部に相談するなど、早めの対策が必須です。
まとめ
今回は、探偵業の将来性、フランチャイズによる探偵業の開業手順、フランチャイズで探偵業を開業するメリットや注意点について解説しました。
探偵業の魅力は景気に左右されず、常に安定した需要があることです。
フランチャイズによる探偵業の開業を検討している方は、運営ノウハウ、研修制度、サポート体制などが充実した本部を慎重に選ぶとよいでしょう。