フランチャイズで結婚相談所を開業する手順やメリット・業界動向を解説

結婚相談所はフランチャイズで開業することができ、フランチャイズならば既に構築されたネットワークやノウハウを活用して運営することが可能です。
「婚活」という言葉が普及したように、結婚相談所に登録して結婚を目指す独身男女は増加しています。
結婚相談所の需要が高まると同時に、結婚相談所を開業したいと考える人も増えていますが、結婚相談所を独自開業することは至難の業です。
一方で、フランチャイズならば成婚を実現しやすいノウハウがあるため、開業を成功につなげやすいです。
今回は、結婚相談所をフランチャイズで開業する手順やメリット、業界動向などについて解説します。
目次
結婚相談所の仕組みについて
結婚相談所は、結婚をしたいと考える独身男女のマッチングからお見合い、そして結婚までの流れをサポートするサービスです。
結婚相談所に登録している会員同士が条件や希望などが合う相手を探し、マッチングすればお見合いをします。
結婚相談所はフランチャイズで開業することが一般的で、その理由は本部が有する会員のネットワークやシステムを利用できることが大きいといえます。
例えば、自社に登録した会員が10名だったとしても、フランチャイズならば本部がシステムを統括しているので、そのシステムに登録している何万人という会員とマッチングさせることが可能です。
結婚相談所の紹介システムには2種類あり、仲人型とデータマッチング型になります。
仲人型は仲人が時間をかけて出会いから成婚までをサポートしますが、近年ではオンラインで希望の条件などを入力して相手を探すデータマッチング型が主流になりつつあります。

結婚相談所の業界動向
結婚相談所は昔からありますが、近年は少子化や結婚の高齢化などから結婚相談所の需要が高まっています。
ここからは、結婚相談所の業界動向について解説します。
(1)需要は増加傾向
日本は人口減少傾向にありますが、結婚が無くなることはありません。
昔から結婚相談所は需要があるものでしたが、近年では需要がますます高まっています。
その理由は、出会いの多様化にあります。
恋活・婚活サイト、マッチングアプリなどの普及により、独身男女の出会いの場は学校や会社など自分の周囲のコミュニティだけではなくなり、出会いの幅が広がりました。
そして、結婚したい人は結婚相談所を利用するという流れも一般的になり、需要は増加しているといえます。
(2)晩婚化が進んでいる
日本では晩婚化が進んでいます。
男性では2人に1人が、女性では3人に1人が、30代前半で独身ともいわれます。
晩婚化の理由には、女性の社会進出や、若年世代に経済的ゆとりがないことなどが挙げられます。
結婚年齢の上昇傾向に合わせ、結婚相談所に入会する会員の年齢層も幅広くなっており、それぞれの年齢に応じた対応が求められます。
(3)離婚・再婚の増加
日本では3組に1組が離婚しているともいわれるほど離婚をする夫婦が増えており、離婚は珍しいものではなくなったといえます。
しかも、離婚率が高いのは30代と若い世代になるため、離婚後に再婚を目指す人も多いです。
そのため、近年では初婚だけではなく再婚を目的とした需要も高く、入会希望の会員の幅も広がっているといえます。
結婚相談所の年収
フランチャイズで結婚相談所を開業した場合、一般的に年収は400~500万円程度とされています。
結婚相談所における主な収益は、会員が入会時に支払う入会金・月額料金・成婚時に支払う成婚料の3種類です。
会員が増えればそれだけ入会金や月額料金による収益が増え、会員を成婚させることができれば成婚料が入ります。
効率的な集客や、カウンセラーを増やして対応できる業務を増すことで、600万円や700万円以上の年収を目指すことも可能です。
また、コンスタントな入会会員の獲得と、成婚率が高まれば年収1,000万円超えも視野に入ってくるでしょう。
一方で、副業の場合は400万円以下というケースも多いです。
フランチャイズで結婚相談所を開業する場合の費用
結婚相談所の開業を検討する場合、開業にかかる費用を知ったうえで資金を準備する必要があります。
フランチャイズで結婚相談所を開業する場合にかかる費用は、以下の通りです。
(1)初期費用
結婚相談所の開業にかかる初期費用は、一般的に40~100万円程度です。
初期費用の内訳は、以下のようになります。
【初期費用内訳】
- 加盟費
- 研修受講費
- 店舗準備費
- マッチングシステム費
- 販促資料費
- パソコン準備費
- 事務用品準備費 など
開業当初は店舗を構えずに自宅を拠点とするケースが多いため、結婚相談所の開業は比較的にコストが抑えやすいです。
会員数や従業員が増え、収益が安定してから店舗を構えると良いでしょう。
(2)ロイヤリティ
フランチャイズに加盟すれば、毎月ロイヤリティを本部に支払わなければなりません。
ロイヤリティとは、本部の屋号やノウハウを使用する使用料のようなものです。
ロイヤリティは、定額制で月額10,000円程が多いです。
本部によっては、ロイヤリティはゼロのところもあれば、システム利用料やホームページ利用料などが別途必要になるケースもあります。
また、新規会員登録1名につき、数千円程度の徴収する本部もあり、ロイヤリティに関しては本部ごとに異なります。
結婚相談所の業務内容
結婚相談所を開業した場合は、具体的にどのような仕事を行うのでしょうか。
結婚相談所の業務内容には、以下のようなものがあります。
(1)無料相談
結婚相談所の数は非常に多いです。
入会希望者に自分の店舗の方針やシステムなどを知ってもらうために、入会を検討するための無料相談を設けていることが一般的です。
無料相談では費用などの説明だけではなく、入会希望者の婚活に関する悩みを聞いてアドバイスすることもあるでしょう。
無料相談によって入会希望者は契約をするか否か決定するため、無料相談は入会者獲得のための大切な業務です。
(2)プロフィール作成
入会契約を締結した会員のプロフィールを作成し、システムへ登録します。
プロフィールには以下のような事項を記載します。
- 年齢
- 家族構成
- 年収
- 職業
- 趣味
上記に加え、会員の良さが伝わる性格や、結婚相手の求める条件や希望などを伝わりやすいように文章にまとめます。
また、相談所によってはプロフィール写真撮影の同行なども別料金で行っている場合があります。
(3)会員紹介・お見合いのセッティング
システムに登録されている会員の中から、会員自ら自分の希望に合う人を見つけるケースもあれば、カウンセラーがおすすめする場合もあります。
双方が会ってみたいと考えれば、日程を決めてお見合いを行います。
お見合いの場所は、ホテルのロビーラウンジのような場所が多いです。
お見合いでの印象で今後の展開が大きく変わるため、会員が落ち着いて話してアピールできるようにアドバイスなどを行うと良いでしょう。
(4)会員へのフォローやアドバイス
お見合いから順調に交際へ発展したケースでは、随時様子を伺い相談にのることもカウンセラーの業務です。
例え交際へ発展できても、常時順調に進み続けるわけではありません。
また、結婚相談所で活動していれば活動方針に悩むこともあるでしょう。
こうした会員の悩みを聞き、アドバイスをすることも大切な業務です。
こうしたアドバイスにより、結婚に向けて交際が上手くいくことや、会員の婚活へのモチベーションが高まることも珍しくありません。
(5)広告活動
新規会員を獲得するには、自身の結婚相談所の知名度を高めることや、広告活動が必要です。
近年の主な広告活動は、XやInstagramなどのSNS投稿です。
結婚相談所によってはYouTubeチャンネルを開説し、カウンセラーの知名度を高めて集客を得ているケースもあります。
また、ホームページも本部から提供される既存のものではなく、自身が運営する結婚相談所らしさが伝わるようにホームページを定期的に見直して更新することも大切でしょう。
フランチャイズで結婚相談所を開業する手順

フランチャイズで結婚相談所を開業する場合、手順を知っておけばスムーズに開業準備を進められます。
フランチャイズで結婚相談所を開業する手順は、以下の通りです。
(1)資料請求・説明会出席
まずは、複数の本部を比較する必要があります。
気になる本部の資料請求や問い合わせを行い、説明会に参加しましょう。
各本部のビジネスモデルや収益モデルを理解し、開業した場合のシミュレーションを行います。
不安点や疑問点は本部にしっかりと聞き、じっくり検討します。
(2)加盟契約
本部と面談を行い、契約内容に合意できれば加盟契約を締結します。
契約書は細かくさまざまなことが記載されていますが、しっかり全てに目を通してから契約しましょう。
契約書の確認に不安がある場合は、弁護士になどに依頼することで安心して契約することができます。
(3)研修
本部によっては業務を円滑に行うために、研修で独自カリキュラム受講が必要な場合があります。
規定の独自研修はない場合でも、ホームページの開設やシステムの使用方法などの説明会が設けられます。
(4)開業準備
結婚相談所の開業に必要な備品などを準備します。
近年ではインターネットで会員情報を管理することが多いため、パソコンは必要になるでしょう。
また、集客戦略も考えて広告活動などを行ないながら、開業に向けた最終準備をします。
(5)開業
(1)~(5)のプロセスを経て開業し、結婚相談所業務開始となります。
フランチャイズで結婚相談所を開業するメリット
結婚相談所の開業方法は、独自開業もしくはフランチャイズへの加盟になります。
フランチャイズに加盟して結婚相談所を開業する場合では、どのようなメリットがあるのでしょうか。
(1)成婚率を高めるための各種サポート
結婚相談所に入会する会員は成婚することが目的です。
成婚率が低ければ結婚相談所としての魅力は低くなり、集客や会員の登録期間などにも影響します。
また、成婚すれば会員から成婚料を得られます。
フランチャイズに加盟すれば、本部がIT戦略による会員集客や、成婚を促進するための加盟者勉強会などで運営強化を行います。
こうした取り組みにより、高い成婚実績を保持している加盟店もあります。
(2)セキュリティを高められる
ビジネス一般に、情報管理をはじめとしたセキュリティは重要です。
結婚相談所では会員の個人情報を取り扱うため、セキュリティは高ければ高いほど安心感を得られます。
フランチャイズの結婚相談所では、内閣府承認のNPO法人で、情報を厳重に管理して運営しているところもあります。
(3)既存のシステムを利用できる
結婚相談所は各本部がすでに構築しているシステムがあり、このシステムによって会員管理からお見合い相手のマッチング、他の加盟店との連絡などが行えることが多いです。
こうしたシステムを利用できることは、フランチャイズに加盟する大きなメリットでしょう。
独自で開業すれば会員管理はもちろんですが、お見合い相手も自力で探さなければなりません。
集客がなければお見合いできる相手もいない状態なので、結婚相談所として成立しません。
こうしたシステムを利用するためにフランチャイズへ加盟することが一般的です。
(4)相談担当者が駐在している
結婚相談所を運営していれば、さまざまなトラブルや悩み事などが生じるため、臨機応変な対応が求められます。
しかし、慣れないうちは、上手く対応はできないケースも少なくありません。
フランチャイズでは、相談担当者が駐在しているため、業務や会員への対応などさまざまな悩みを相談し、アドバイスを得ることが可能です。
フランチャイズで結婚相談所を開業するデメリット
フランチャイズで結婚相談所を開業することには、メリットだけではなくデメリットもあります。
デメリットには、次のようなことが挙げられます。
(1)加盟金・ロイヤリティの支払い
フランチャイズに加盟するには、最初に加盟金を支払わなければなりません。
加盟金は一度の支払いで終わりますが、ロイヤリティは毎月支払いが必要です。
例えば、副業で始めたものの、本業が忙しくて結婚相談所としての収益が少ない月があったとしても、月額固定のロイヤリティならば売上に関係なく支払いが必要になります。
独自開業ならば加盟金やロイヤリティは不要なので、デメリットになるといえるでしょう。
(2)経営方針の制約
フランチャイズでは、経営に関するルールが設けられています。
そのため、例えば集客と成婚のために様々な独自の策を講じたいと考えたとしても、規定されたルールに沿った策でなければ本部から却下されてしまいます。
自由に経営したいと考える加盟者としては、本部が設けるルールが窮屈に感じるかもしれません。
結婚相談所の開業で失敗を避けるコツ
結婚相談所を開業するにあたり、事業が上手くいくかどうか不安に思う方も多いでしょう。
ここからは、結婚相談所の開業で失敗を避けるためのコツを紹介します。
(1)会員のペースに合わせる
結婚相談所は会員が存在してこそ事業が成立するため、会員を第一に考えることが重要です。
加盟者の立場としては、初期費用回収や月固定費支払いのために、自分が定めた月額最低限売上を確保したいと考えるでしょう。
しかし、会員それぞれ婚活の進め方やライフスタイルは異なり、経済的な事情にも違いがあります。
加盟者のペースで進めようと強引なアドバイスや対応をすると、会員から不信感を持たれ退会につながりかねません。
それぞれの会員のペースに応じ、対応することが大切です。
(2)アクションはこまめにする
結婚相談所のカウンセラーは、お見合いの返事や会員からの相談などさまざまなアクションが求められます。
こうしたアクションはこまめに行うことが大事です。
例えば、お見合い後の仮交際に進むか否かという返事は、一定の期限内に返事するように規定されている本部が多いです。
しかし、決められた期限内に会員の気持ちが決まらないようなこともあるでしょう。
会員の気持ちや状況を把握したうえで、こまめに連絡を取ることが大切です。
(3)トラブル防止や対処法を考えておく
結婚相談所は人対人をつなぐサービスになるため、数は多くないながらもトラブルが起こることもあります。
例えば、成婚前の外泊や旅行などの禁止事項を破る会員もいるでしょう。
また、会員によっては感情的になり、カウンセラーに強い口調であたるようなケースもあるかもしれません。
こうしたトラブルや問題が起こることも想定し、トラブル防止策や対処方法も考えておく必要があります。
(4)事務作業も大切な業務
結婚相談所もビジネスなので、経営に関する事務作業なども業務の一環として行わなければなりません。
対人折衝力には自信があっても、決算などをはじめとした運営のために必要な事務作業は苦手という方もいるでしょう。
しかし、日々の勘定記録や決算書の作成、確定申告なども経営にとって大切なものです。
不慣れな間は作業に時間がかかるかもしれないので、税理士など専門家に依頼することなども検討しつつ、事務作業を怠らないようにしましょう。
(5)本部選びは慎重に
フランチャイズ本部は複数あり、本部ごとに方針や加盟金・ロイヤリティの費用、会員の年齢層などが異なります。
開業で失敗しないためには、加盟する本部選びを慎重に行う必要があります。
複数の本部の資料を集め、説明会などにも参加して熟考しましょう。
加盟金やロイヤリティの安さだけで決めてしまうと失敗する可能性があるため、成婚率や会員数、開業後のサポート体制などを比較して決めてください。
まとめ
結婚を目指しながらもなかなか良い縁がない独身男女は多く、結婚相談所の需要が無くなることはありません。
フランチャイズならば加盟金やロイヤリティの支払いはあるものの、本部のシステムや経営ノウハウを活用しながら結婚相談所を開業することができます。
副業や未経験でも開業できる業種なので、まずは小さい規模から始めても良いでしょう。