フランチャイズの解約時に解約金は必要?違約金が発生するケースや注意点を解説
フランチャイズに加入したけれど、思うような収益を得られずに解約をしたいと思うこともあるでしょう。
フランチャイズ契約では、契約期間が設けられていて、契約期間を満了せずに中途解約する場合は、違約金の支払いを求められることがあります。
この記事では、フランチャイズの解約時に違約金が発生するケースや、解約時の注意点について解説します。
目次
フランチャイズの解約時に違約金が発生するケース
フランチャイズを解約する際、必ず違約金が発生するわけではありません。
では、どのような場合に違約金が発生するのでしょうか。
違約金が発生するケースとしないケースについて説明します。
(1)契約期間の満了時には発生しない
フランチャイズ契約では一般的に契約期間が定められています。
契約期間は、1年・3年・5年・10年など、本部によって異なります。
この契約期間が満了になった時点に契約を更新せずに終了とする場合、基本的に解約金や違約金などは発生しません。
契約を更新するかどうかは、加盟者の意思で決めることができます。
(2)違約金が発生することがある
フランチャイズ契約では、解約する際に違約金が発生することがあります。
違約金が発生するのは、以下のようなケースです。
①重大な過失による契約解除
契約違反や法律違反などを重大な違反が発覚した場合、契約期間中でも契約解除に至るケースがあります。
このような場合、違約金が発生します。
重大な違反により本部のブランドイメージを大きく損失するような場合や、本部に大きな損害をもたらす場合、違約金以外に損害賠償を請求される可能性もあります。
②中途解約
契約期間の途中でも「経営状態が悪化して経営を継続できない」「病気になって今までどおり働けなくなった」など、さまざまな理由で解約に至るようなケースもあるでしょう。
契約期間の途中で解約することを中途解約と呼びます。
中途解約をする際は、契約条項に基づいた違約金を請求されることがあります。
ただし、災害やオーナーの健康上の理由などが理由で中途解約する場合、本部の理解を得られれば違約金が発生しないこともあります。
③契約終了後の違反行為
フランチャイズの契約が終了した後に、違約金が発生する場合もあります。
フランチャイズ契約では契約終了後に関する条項も定められており、この条項に違反すれば違約金が発生します。
代表的なものは、「競合禁止義務」や「商標の侵害」です。
競合禁止義務とは、フランチャイズ契約の終了から一定期間は加盟先と同業種や類似する業種を行うことを禁止することを指します。
また、商標の侵害とは、加盟先のサービスマークやサービス名などの商標を利用することを指します。
フランチャイズの違約金の金額
違約金が発生した場合、どれくらいの金額を支払わなければならないのでしょうか。
(1)金額に決まりはない
フランチャイズ契約では、あらかじめ契約書に違約金の金額が定められています。
違約金の金額に関しては、本部ごとに設定が異なります。
一定の金額が定められているケースもあれば、残りの契約期間のロイヤリティの総額として定められているケースもあります。
違約金の金額については契約書に明記されているはずなので確認しましょう。
(2)法外な金額の場合は減額や免除できる可能性がある
フランチャイズ契約を解約する際に違約金を請求され、その請求金額が法外な金額の場合は、違約金の減額や免除が認められる可能性があります。
なぜなら、高額すぎる違約金は公序良俗違反に該当する可能性があるからです。
例えば、中途解約だった場合、残りの契約期間に予測される売上を超えるような違約金は法外だといえます。
違約金として提示された金額が高額すぎる場合には、弁護士などに相談してみるとよいでしょう。
フランチャイズの解約前に確認しておくべきポイント
フランチャイズ契約を終了する前には、いくつか確認しておくべきことがあります。
確認を怠れば、違約金を請求されるかもしれません。
フランチャイズ契約を解約する前に、以下のポイントを確認しておきましょう。
(1)解約を申告する期間
フランチャイズ契約はいつでも解約できるというわけではありません。
契約を中途解約する場合も、契約期間の満期で終了する場合も、事前に解約を申告する期間が設けられていることが一般的です。
申告期間は本部ごとに異なりますが、解約を希望する3~6カ月前の申告が義務付けられていることが多いでしょう。
満期で契約終了を希望していた場合でも、事前に解約したい旨を深刻しないと契約が自動更新されることがあるので注意が必要です。
解約の申告期間を事前に確認し、期間内に忘れずに申告しましょう。
(2)解除禁止期間
フランチャイズ契約を締結すれば、すでに成功した本部のノウハウなどをまとめたマニュアルを提供してもらうことができます。
企業秘密ともいえるノウハウを教えてすぐに契約を中途解約されてしまうと、本部の損失が大きいといえます。
そのため、契約後すぐには解除できないように「解除禁止期間」が設けられていることが一般的です。
何らかの事情で中途解約を希望する場合は、解除禁止期間を確認しましょう。
(3)違約金の条件
違約金の支払い条件や金額は、フランチャイズ本部ごとに異なります。
一律の金額が定められている場合もあれば、契約期間の残り日数によって金額が変わることもあります。
フランチャイズ契約を締結した際の契約書に、違約金の支払い条件や金額が記載されているはずなので、あらかじめ確認しておきましょう。
(4)競合避止義務の期間
フランチャイズに加盟して学んだことを活かして独立したいと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、ほとんどの場合、フランチャイズ契約終了後、一定期間は同業種などの事業を行うことを禁止する「競合避止義務」が契約時に定められています。
そのため、フランチャイズ契約終了後すぐに同業種や同類の業種を行えば、違約金を請求されてしまいます。
これは、本部にとって自社のノウハウやマニュアルを守るために大切な規定だといえます。
競合避止義務の期間は、数カ月という短い期間の場合もあれば、数年ほど期間が設けられている場合もあります。
フランチャイズ契約を締結した際の契約書に記載されているはずなので、契約書の内容を確認しておきましょう。
フランチャイズの解約時には解約金以外にもお金がかかる?
フランチャイズの解約時の状況によって違約金の発生の有無は異なりますが、フランチャイズを解約する場合は違約金以外にもお金がかかることがあります。
どのようなお金がかかる可能性があるのか把握しておきましょう。
(1)融資の返済
フランチャイズで開業するにあたり、自己資金では足りずに融資を受けるという方も多いでしょう。
金融機関から融資を受けている場合は継続して返済を続けていくことになりますが、本部から融資を受けている場合は解約時に返済を求められる可能性があるという点に注意が必要です。
返済方法は本部によって異なるため、融資を受ける前に確認しておくことが大切です。
(2)店舗の解体費用
フランチャイズの解約後に店舗を解体する場合、店舗内を片付けて解体する費用をオーナーが負担しなければならないことがあります。
店舗を解体するための費用だけではなく、不要になった什器等を捨てるための廃棄物処理費用も発生するでしょう。
物件をそのまま他のオーナーに引き継ぐ場合や、本部が引き取って直営店にするような場合は解体費用を抑えられます。
フランチャイズの解約金トラブルに関する相談先
フランチャイズの解約にあたり、違約金などを巡りトラブルが起きることもあるでしょう。
解約前にトラブルが起きないように事前に相談しておきたいという方もいらっしゃるかもしれません。
フランチャイズの解約金やトラブルに関して相談できる相談先を紹介します。
(1)フランチャイズ本部
フランチャイズ契約の解約について疑問や不安がある場合、まずは契約しているフランチャイズ本部に確認してみましょう。
解約に関する条件や違約金に関する情報は契約書に記載されていることが多いですが、記載内容が明確ではないケースや、理解できない内容の場合もあるかもしれません。
まずは本部に問い合わせて、不明な点について質問することが大切です。
経営難や災害被害などが原因で解約を検討している場合であれば、相談することで本部のサポートを受けられる可能性があります。
また、病気などやむを得ない事情による中途解約であれば、本部も理解してくれて、違約金を免除してもらえるかもしれません。
(2)フランチャイズ相談センター
一般社団法人の日本フランチャイズ相談チェーン協会が運営するフランチャイズ相談センターは、フランチャイズ加盟に関するトラブルの相談に対応しています。
専門の相談員が無料でアドバイスしてくれるので、トラブルに対してどのように対処すべきかヒントを得られるでしょう。
電話やWebで相談することが可能です。
(3)弁護士
法外な解約金を請求された場合や、契約内容とは異なる違約金を請求された場合、損害賠償を請求された場合などは、弁護士に相談するという選択肢があります。
専門家である弁護士が過去の判例から解決策を導き出し、代理人として本部と交渉を行ってくれます。
とくに損害賠償を請求されるなどの問題に発展した場合は自力で対応することが難しいので、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談する場合は、契約書などの書類を持っていくと具体的な話を進めやすいでしょう。
まとめ
フランチャイズの契約期間を満了して解約する場合であれば、原則として解約金は発生しません。
しかし、中途解約や契約違反行為があった場合は、解約金ではなく違約金という形で支払いが必要になることがあります。
金額や違約金の支払い条件については契約書に記載されているので、まずは契約書を確認しましょう。
違約金の支払いを巡り、トラブルに発展した場合には、相談センターや弁護士など第三者のサポートを得ることも大切です。