フランチャイズは簡単に解約できるのか?4つの契約終了方法と違約金が発生するケース
フランチャイズ契約による開業は、個人で事業を始めるより安定した運営が可能といわれており、性があると開業を希望する人たちの選択肢の一つ1つとなっています。
フランチャイズオーナーとして開業を検討する際、確認しておかなければならないのが解約時にかかる違約金です。
契約内容によっては高額な違約金がかかることもあるため注意が必要です。
今回は、解約時に発生する解約金について、詳しく解説します。
目次
フランチャイズは簡単に解約できるのか?4つの契約終了方法
フランチャイズ契約を解約するときの状況はさまざまですが、通常次のいずれかの方法で契約を終了します。
- 任意解約
- 契約終了
- 合意解約
- 契約解除
詳細を見てみましょう。
(1)解約条項に従った任意解約
定められた契約期間が満了する前に、契約条項にのっとり解約することを、任意解約と言います。
フランチャイズ契約では、一定の条件を満たすことで、加盟店側が一方的に契約を解除できる、という内容の条項が定められていることがあります。
解約条件はケースによって異なり、書面での意思表示や一定の契約期間の経過などが代表的です。
(2)満期での契約終了
フランチャイズ契約において、加盟店は定められた契約期間で運営を行い、期間満了時に更新するか契約を終了するか選択します。
満期で解約する場合は、違約金は発生しないことがほとんどです。
契約内容によっては、期間満了前に契約の終了を申し出なければ、自動で契約が更新される場合もあります。
自動更新される契約の場合は、契約期間内に解約の意思表示が必要ですので注意してください。
また、契約終了の通知は郵送で行いますが、内容証明郵便などを利用し、通知の事実が証明できる形にしておきましょう。
万が一フランチャイズ企業本部に解約の意思が伝わっていなかったときに、契約終了できないという更新を巡るトラブルを防ぐことができます。
(3)契約期間中の合意解約
フランチャイズ契約の中には、契約書に中途解約に関する条項を設けていないものもあります。
この場合、契約期間満了前の解約を希望するのであれば、フランチャイズ本部と協議のうえで解約することになります。
双方が解約に合意をすれば、契約期間内であっても違約金無しで解約できます。
ただし、双方が納得できるように契約終了する正当な事由が必要となるでしょう。
(4)契約違反による契約解除
加盟店やフランチャイズ本部がが契約に違反すると、契約期間中でも契約終了となることがあります。
契約解除には、フランチャイズ契約にあらかじめ定められた解除事由による約定解除と、関係法令に定められた解除事由にのっとった法定解除の2種類があります。
ただし、フランチャイズ契約は長期継続的に維持され、信頼関係によって成り立つ部分が大きいため、小さな契約違反では契約解除できない場合もあります。
また、契約違反による解除では、相手方が納得しないケースでは、裁判や調停など紛争に発展することもあります。
中途解約で必要となる違約金について
契約違反や、契約期間内の一方の都合による解約では、多くの場合違約金が発生します。
また、違約金は解約時だけでなく、場合によっては解約後も違約金が発生する可能性があります。
(1)中途解約時の違約金
中途解約による違約金は、契約時に定めた条項に基づいて支払います。
違約金の金額は加盟先各企業によって異なりますので、契約書をよく確認しましょう。
ただし、企業によっては契約書に契約期間を記載していない場合があります。
このケースでは、中途解約の違約金は発生しないことも多いです。
(2)契約終了後の違約金
契約終了後も、フランチャイズ企業とまったく関係がなくなるわけではありません。
ときには、契約終了後に効力が発生する条項が定められていることもあります。
代表的なのは、競業禁止義務違反や、商標の侵害に関する取り決めです。
競業とは、加盟先と同業種、もしくは類似の業種を行うことを指します。
契約解除から一定期間は、競業禁止の義務を課す加盟先がほとんどです。
また、フランチャイズ企業の名称やマーク、サービス名などを使うことは商標権侵害にあたります。
解約後は加盟先の商標は利用できません。
なお、契約に定められた条項への違反に対する違約金は有効でも、金額が過大な場合は、そのすべてが認められるわけではありません。
実際の判例では、競業禁止義務違反の違約金として、ロイヤリティ36か月分を課した契約に対し、あまりに高額であるとして6か月分に減額を命じたものがあります。
中途解約で違約金が必要でない場合もある
契約期間中の中途解約でも、違約金が免除されるケースもあります。
そもそも、中途解約にで違約金がかかるのはフランチャイズブランドとしての統一性や信頼性を維持するためです。
ただし、加盟店として営業したり、解約したりすることは日本国憲法の基本的人権として保障されているため、自由であると考えられています。
そのため、違約金が過大な金額の場合、加盟店が自由に解約できなくなるため、解約金自体が公序良俗違反として減額もしくは免除になることがあります。
過去の判例のなかに、大手コンビニチェーンと元加盟オーナーによる、違約金をめぐる判決で、裁判所が違約金の請求を棄却したものがあります。
この事例では、中途解約の違約金として、622万円余りが請求されていました。
請求が棄却されたのは、それまでの契約で得たロイヤリティ収入で、すでに初期投資は回収できていること、また赤字経営が続いているのに経営を存続させることは公序良俗に反するとされたためです。
このように、中途解約であっても、訴訟の結果、違約金が無効とされることもあります。
万一のトラブルの際は、交渉や法的手段による減額・免除も頭に入れておいてください。
フランチャイズ契約の解除を検討するときは契約内容を確認する
フランチャイズ契約を終了するときは、事前に契約内容を再確認しましょう。
特に以下次の項目は、違反するとトラブルに発展することも多いです。
- 解除の事前通知の期間
- 解除禁止期間
- 支払い条件
- 競業避止義務の期間
(1)解除の事前通知の期間
フランチャイズ契約では中途解約や満期での契約終了の際、事前に書面で通知するよう求められることが多いです。
一般的な契約内容では、解約したい月の3ヶ月から6ヶ月前までに通知をするよう定められています。
加盟店の運営は、加盟先との契約によって成り立っていますので、勝手にやめることができません。
必ず事前通知の期間を確認しましょう。
(2)契約後の解除禁止期間
契約直後に解約できないよう、解除禁止期間を設定している企業が多いです。
短期間で解約されてしまうと、企業側に損失が発生するためです。
加盟店がすぐに解約を希望するケースは稀ですが、何らかの事情で契約直後の解約を検討するときは、契約禁止期間に当たらないかよく確認しましょう。
(3)違約金の支払い条件
違約金の支払いに関しては、契約相手の企業によって規定が異なりますので、支払い条件はよく確認しておく必要があります。
違約金は一律で定められているケースのほか、解約希望月から満了までの日数で決まる場合る場合、加盟先の独自の計算法で算出される場合などさまざまです。
企業によっては、経営難による中途解約の場合では違約金が免除されることもあります。
(4)競業避止義務の期間
前述のとおり、企業の多くは契約終了後に一定の期間の競業を禁止にしていることが多いです。
競業避止義務の期間は最短でも数ヶ月、長い場合は最長で3年ほどになることもあります。
中途解約する場合は事前に準備する
中途解約する場合、事前に情報収集準備をしておきましょう。
とくに、違約金の金額が過大で減額を希望する場合などは、交渉が必要になることが多いです。
まずは、契約書の解約に関する条項をよく読み、条項に抵触する部分がないか確認します。
違約金が発生する可能性があるときも、状況によっては免除の可能性もあります。
違約金が高い場合や、内容に納得できない場合は法律事務所に相談に行くのもがおすすめです。
まとめ
フランチャイズ契約を解除するときは、契約書に定めた内容にのっとり、円満に解約できることが望ましいです。
中途解約では、状況によっては違約金が発生することもあります。
ただし、中途解約だからといって、必ず違約金を払わなければならないわけではありません。
契約内容に対して違約金が過大なケースは、や交渉次第で減額もしくは免除を受けられるされることがこともあります。
まずは、契約書にどのような条項が定められているか確認してみましょう。