フランチャイズ開業地域(立地)選定の基準と適した場所の選び方

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フランチャイズ  開業地域

フランチャイズビジネスを考える際に、重要な要素の一つが開業地域(立地)です

お客様の所へ行くタイプのビジネス以外では、いかにターゲット層のお客様の所に近いか・ターゲット層のお客様がアクセスしやすいかということは売り上げのキーとなります。

開業地域というと、一見住宅街から車で15以内程度の所がいいのでは?などといったイメージがあるかもしれません。

ビジネスにおいて1度「ここ」と開業地域を決定、実際に出店・事業開始となったとしましょう。

やはり場所が良くなかったので違う場所へ移りましょうかと考えても、そう簡単には移り難い傾向があります。

まず1回の開業で、数十万円から100万円程度(業種・事業内容によってはこれ以上)かかってくるわけです。

これだけ費用がかかっているわけですから、そう簡単に引っ越しという決断に至らないのは想像するに難しくないと思われます。

このような事情により開業地域の選定は難しいのです。

そこで今回はフランチャイズ開業地域(立地)につきまして、その選び方・留意点などを解説します。

投稿者・コラム執筆者

顧客ターゲットはどこにいるのか?

(1)男女別・年齢別人口の絞り込み

住民基本台帳や年齢別統計表でなどでどの市のどの地区辺りに、男女それぞれ何人程度ずつ在住なのか・何歳程度の方が何人程度ずつ在住なのかといった情報を集めます。

(2)所得水準・家計支出水準

地域経済総覧(東洋経済新法社)や家計調査年報などで、所得目安や家計がどの程度費用として考えるのか把握します。

こうなれば、自社製品への予算計上もしやすくなります。

(3)民間企業提供ソフトで迅速に把握するのも可能

民間企業提供ソフトにて、ターゲット圏の人口や世帯数を短時間で把握するという方法があります。

そしてこの方法に加え、分析レポート作成・ファミリー層の多いエリア抽出などといった詳細・高度なデータ抽出方法もあります。

(4)フランチャイズ元の立地基準

フランチャイズ元によっては、立地基準を設けているところもあります。

立地基準への把握・理解が不明・あいまいなままの状態ですと、定められた期間内に場所を探せないという事態になりかねません。

これでは事業開始までの流れ・段取りが全体的に遅れてしまうといったことすら予想されます。立地基準項目の例を示します。

  • 出店エリア
  • 人口密度
  • 営業時間
  • 物件条件

開業地域選定における面・線・点とは?

(1)面

開業地域選定での面とは、次の2つの事柄です。

  • ビジネスとして成立するマーケット規模といえるのか否か
  • 事業の質に合ったマーケットとしての質があるのか否か

つまり、人口・経済水準・自家用車保有率などといった事柄です。

見出し「顧客ターゲットはどこにいるのか?」の、(1)人口(2)費用水準に相当する部分でもあります。

調査方法としては徹底的に歩く(自動車で走る)、役所や商工会議所などで入手できるデータ分析となります。

(2)線

開業地域選定での線とは、次の3つの事柄です。

  • 商圏内での配置は妥当か否か
  • 商圏内のお客様は対象の場所にアクセスしやすいか否か(周辺に障害となるものはないか否か)
  • 商圏内の競合店とはどのような位置関係なのか

つまり場所のわかりやすさ・競合店数・競合店と比較した時の立地優位性・通行量(歩行者と車両)などといった事柄です。

調査方法としては、視察となります。

視察の注意点として、ターゲットとする車種・車両のスピード・何人乗っているかといったことまで把握しておいた方が後々便利という点です。

(3)開業地域選定での点とは、次の3つの事柄です

  • 物件そのものは対象の事業に利用可能な規格(大きさ・形)か否か
  • 物件そのものの視認性は良いか否か
  • 物件そのものの道路との位置関係は良いか否か

つまり、見つけやすいか否か・角地か一面か・地形・車の出入りしやすさなどといった事柄です。

特に規格につきましては、若干小さい部分はあるけど大丈夫だろうと見切り発車すると後々本部のチェックで不適と解釈されかねませんので注意が必要です。

調査方法としては書類チェック・視察による念には念を入れた、細かい部分までのチェックとなります。

候補物件が商圏のどの辺りにあるのか?

(1)客単価と回転率どっちの商圏を狙うのか(例えば飲食)

商圏と考えるだけでも、まず価値観で大きく二つに分けられます。

この価値観というのは低単価で回転率を重視するのか、高単価を重視するのかという価値観です。

低単価で回転率重視ならば、人通りが多い路面店がおすすめとなります。

人通りが多い場所は若い層が多い傾向にあり、リーズナブルな価格を重視する場合が多いからです。

この事情から、通行人が自然とそのまま見込み客となりやすいです。広告宣伝費を軽減しやすいという利点もあります。

高単価重視ならば、駅から徒歩10分程度かかる場所・駅前物件の2階・事業内容次第では駅前でなくとも住宅地の近郊といった場所も対象に入ってきます。

高単価重視のお客様は多少費用が高くついても、スペースをプライベート感覚で使える・静かな場所で楽しみたい・雰囲気内装など含め高級感がある所が良いといった価値観を重んじる傾向があります。

人通りが多いお店はうるさくガヤガヤなりやすく、駅から徒歩10分程度離れた場所から少しずつ静かになりやすいです。

(2)飲食店の出店エリア

「2013年日本生活金融公庫データによる実際の開業地域」

  • すし店:4割が住宅地
  • 料理店(料亭・割ぽう店):4割弱が繁華街
  • 西洋料理店:3割が住宅地
  • 中華そば店・中華料理店:3割が郊外の幹線道路沿い・1割強が商店街やオフィス街
  • アジアエスニック料理店・焼き肉店:3割が郊外の幹線道路沿い
  • レストラン(専門料理店以外):3割が郊外の幹線道路沿い
  • 居酒屋:3割が繁華街・2割が商店街
  • バーやスナックなど:7割弱が繁華街
  • 喫茶店:3割が商店街

(3)小売店のおすすめエリア

  • スーパーなど同じ対象を集客しようとしているお店の近隣
  • 商業施設や同業他社が入るビル

「類似業者が同じビル・隣などの近隣だとライバルが多いのでは?」という懸念があるかもしれません。

しかしながら買い物をする方というのは、なるべく多くは移動せずに複数店舗を回りたいという傾向があります。

よって、上記のようなエリアがおすすめとなります。近くに同業他社がいるということは、自分のお店近辺への集客効果もあるといえます。

自社商品のブランド性が確立され、お客様が自社商品を求めてわざわざ来店される場合は話が別です。

(4)小売店などに必要な要素

①間口

50坪までの物件ならば10m・100坪の物件ならば15mの間口が望ましいです。広い間口は、通行者が気付きやすいです。

②入りやすさ

入りやすさ・入口のわかりやすさもポイントにはなりますが、これはイメージするに難しくはありません。

周辺競合について調査・把握

周辺競合について、以下の事柄を調査・把握しておく必要性があります。

(1)立地要件

面積・入りやすさ・視認性・回遊性・駐車場台数といった点です。

立地要件で入りやすさ・視認性は特に大切ではないでしょうか。

※回遊性:客が店舗内をいかに動き回るかという点

(2)店舗要素

店舗面積・席数・店舗の休日や営業時間といった点です。

休日や営業時間などをできれば違う曜日や時間帯に設定すれば、差異化につながります。

(3)営業・事業運営状況

店内スタッフ人数・商品知識・店舗面積当たり人数・接客速さ・接客技術・販売スキルといった点です。

接客技術・販売スキルは偵察すれば、自社の参考材料にもなり得ます。

(4)販売戦略

広告宣伝方法・規模・大きさ・頻度・内容といった点です。

そして看板視認性・リピーター獲得方法もあります。リピーター獲得方法は、できれば分析・導入したいものです。

(5)商品情報

商品そのものの内容・価格・在庫量・サポートサービスといった点です。

この点は特に大切で、核となる商品のチェックは欠かせません

自社新製品作りの参考になる可能性があります(相手商品が商標登録されていれば難しいかもしれませんが)。

上記事柄を、調査・把握しておく事柄を述べました。ここで、こんなの1人でするのは大変すぎる・留意点が分からず要領よくできる自信がないと不安に思った方もいらっしゃるでしょう。

このような調査をしてくれる、リサーチ会社がありますので検討材料に入ってきます。

自分の都合・費用に合うか否か

当然ながら、自分の構想・都合・費用に合うか否かも必要考慮要素に入ってきます。

(1)事業計画書の収益計算を満たせるか否か

事業計画書には綿密な収益計算を書くことになりますが、必要初期費用額の物件用途予算はとても大事な要素の一つです。

「ちょっと位大丈夫だろう」という非常に大まかな計算・考えによる数値で作ると、審査で収益計算が合いませんという事態になり得ます。

仮に最初の審査がうまくいったとしてもゆくゆくトラブル・もめごとが起こり、「結局最初の見積もり・計算がいい加減だったからではないのですか!?」と信頼を落とす結果にもつながる可能性があります。

事業計画書の収益計算はとても大切です。

(2)フランチャイズ会社を理解・納得させられるか否か

世の中何が起きるかわかりません、そして情報の流れはとても早くかつ人が知らない所で動く傾向もあります。

一見適格そうな開業地域を選んだつもりでも、選んだ開業地域は他の有力候補も同時に狙っている・選んだ開業地域付近に自分よりはるかに実力がある他社の進出予定もあるといった話が進んでいる可能性があります。

もしこの情報を応募先のフランチャイズ会社が先につかんでいる状態にて、「とっておきの場所を見つけてきました」といった自信と勢いで審査に臨むと恥をかく・認識の甘さを痛感させられるといった懸念があります。

難しいことではありますが、未来の開業地域事情も知っておきたいものです。

(3)その他の利便性・こだわり

他にも都合として例えば、治安状況も考慮事項の一つに入ってきます。

もし小中高生も含めた英会話教室のような習い事を開業するとしたら、治安の良し悪しは非常に重要になってきます。

そして本部から供給される商品をなるべく早く(1時間でも早く2時間でも早く)必要という事業だったら、高速のインターチェンジが近い方が良いといったこだわりもあるかもしれません。

立地などもフランチャイズ本部に相談可能なのか?

上記まで記述してきたように、開業地域(立地)の選定方法というのは複雑かつ難しいものです。

ここで、「本部から立地選定にアドバイスはないのでしょうか?」と思った方も少なくないでしょう。もちろん、業種・フランチャイズ会社によってはあります。

(1)候補物件紹介

例えばコンビニ業界では希望を考慮の上、本部から候補物件案内・応募の方の検討という形を利用可能な所もあります。

(2)立地診断サポート

学習塾業界では、本部が立地について診断・調査までしてくれるところがあります。内容は次の通りです。

  • 世帯数・学校数・生徒数・世帯平均年収といったデータ情報
  • 直営校からの現地調査(地域の教育事情・他塾動向など)
  • 現地訪問調査(視認性・人の動きなど)

まとめ

以上フランチャイズの開業地域(立地)について述べてきました。

特に大切な点として、立地基準内容・競合調査では何を調べるべきなのか・商圏のどの辺りが狙い所になってくるのかといった点です。

開業地域選びはとても複雑で、様々な観点から考える必要があります。

時間をかけて、さらに検討余地はないかと複数考えてベストなエリアを選んでください。


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