フランチャイズに加盟して和菓子屋を開業するメリットとデメリット
和菓子は季節感があふれ、幅広い世代に好まれるスイーツといえます。
食感の良さや、ほどよい甘さなどが好まれる要因といえるでしょう。
近年はフランチャイズに加盟して和菓子屋を開業する方もいらっしゃいます。
この記事ではフランチャイズによる和菓子屋開業における収益やコストをご紹介します。
フランチャイズによるサポートやメリット、デメリットといった点について詳しく解説しましょう。
目次
和菓子屋の将来性や市場規模は?
開業前にチェックしておきたい点が、和菓子業界の市場規模や将来性です。
先行きがあまりよくない業種で開業してしまうと、経営が先細りして長続きしません。
独立前にその業種における需要などをチェックする必要があります。
ここからは、和菓子屋を開業する場合の市場規模や将来性といった点について解説します。
(1)和菓子屋、デザート類の市場規模は2兆円と規模が大きい
和菓子の魅力は、季節に合わせたさまざまな種類と柔らかな食感や甘み、そして姿かたちです。
また洋菓子スイーツなどのように生クリームやバター、卵といった脂肪分をほとんど使用していませんのでカロリーも少なく、少し多く食べてしまっても安心です。
和菓子だけの市場規模をはかることはできませんでしたが、和菓子も含む全体的なスイーツ市場は約2兆円規模といわれています。
その中で和菓子は、日本古来のスイーツとして堅調に推移しており、底堅い需要があるといえるでしょう。
(2)年中行事に欠かせない食べ物であるため廃れにくい
和菓子は、常に日本の年中行事に深く寄り添ってきました。
端午の節句には柏餅、花見の季節になれば桜を見ながら花見団子や桜餅を楽しめます。
梅雨時期にはくず餅や水ようかんといった、季節ごとに楽しめる和菓子と共に時間の流れを味わうことができるでしょう。
年中行事には欠かせないお菓子として和菓子は常にそばにあり、非常に廃れにくいスイーツです。
フランチャイズによる和菓子屋の収益は?
和菓子は、昔からあるスイーツとして底堅い需要と将来も廃れにくい食材であることを前述しました。
では実際に和菓子店を開業する場合の収益性はどの程度あるのでしょうか。
ここからは和菓子店を開業した場合の収益面について解説します。
(1)月額の営業利益で100万円以上も可能なビジネス
前述したように、和菓子は日本の年中行事に深く寄り添っており、底堅い需要を誇っています。
近年、新たな取り組みとして和菓子の宅配サービスなどもフランチャイズに加盟した和菓子店が開業されています。
特にコロナ禍において、飲食店などに出向いてスイーツが楽しみにくくなった昨今、宅配で和菓子を楽しむことができるようになりました。
和菓子店の開業において月額利益で100万円を超えることも可能なビジネスといえるでしょう。
(2)収益のモデルケース
実際に、フランチャイズ加盟店を募集している本部が収益のモデルケースを下の表にまとめました。
月30日の稼働で1日平均売上10万円 | |
月額売り上げ | 300万円 |
月額経費 | 200万円 |
月額収益 | 100万円 |
月額の売上が300万円で収益が100万円ですので、利益率は30%以上と利益率も高いことがわかります。
複数店舗も経営により、さらなる高収益を得ることも可能なビジネスといえるでしょう。
初期費用・ロイヤリティなどの費用
収益面がわかると、次に気になる点が開業にかかる費用やロイヤリティなどの費用面です。
ここからは、和菓子屋開業におけるコスト面について解説します。
(1)開業における初期費用はどのくらいかかる
和菓子店開業における初期費用として、一般的に必要な資金は750万円程度といわれています。
店舗取得費によって開業の費用は大きく異なりますので、店舗の取得費がさらにかかるかもしれません。
初期費用の内訳は下記の通りです。
物件取得費 | 150万円 |
内外装工事費 | 400万円 |
設備費 | 200万円 |
計 | 750万円 |
決して簡単に準備できる資金ではありませんが750万円前後を参考に開業資金を見ておきましょう。
(2)加盟店料やロイヤリティは?
フランチャイズに加盟することによりさまざまなサポートを受けて開業することが可能ですが、加盟店料やロイヤリティといったコストがかかります。
加盟店料とは、フランチャイズ本部に加盟するための入会金です。
ロイヤリティは屋号やノウハウを利用できるための使用料と考えておくと良いでしょう。
加盟店料やロイヤリティは、フランチャイズ本部によって異なります。
一般的に、和菓子店をフランチャイズに加盟して開業する場合の加盟店料は200万円前後。
ロイヤリティは、売上の1%程度といったところが見られます。
ただし、開業プランやフランチャイズ本部によって異なるケースが多いので、加盟店料やロイヤリティの額などで本部を比較してもいいでしょう。
フランチャイズによる加盟店へのサポートは何を行う?
フランチャイズに加盟して和菓子店を開業することにより本部からのさまざまなサポートを受けることができます。
ここからはフランチャイズにより加盟店へのサポート内容について解説します。
(1)研修により未経験でも開業可能となる
フランチャイズに加盟しての開業により未経験でも開業が可能です。
本部によってはさまざまな研修制度が充実しています。
和菓子は基本的に本部が製造し加盟店へ卸すシステムとなっていますので和菓子職人になる必要はありません。
接客、集客、運営などについて研修を行い、フランチャイズ本部の経営ノウハウや運営方法を学んで実践することが可能です。
(2)別の場所へも移転が可能
和菓子店を開業したけどもどうしても売り上げが上がらずに苦しいといった人には、本部が持つ店舗などと無料で別店舗への移動を行っているフランチャイズ本部などもあります。
いくら一等地に店を構えてきちんと経営していても、なかなか売り上げが上がらないといったケースがわずかながらある場合にこのようなサポートを提供しています。
本部が移転を無料で行うことにより、再度ビジネスにチャレンジできるサポートです。
(3)食材を特別価格で提供
前述したように、和菓子は自分たちで製造するのではなく、本部が製造し各加盟店に配送します。
これらの商品は特別価格で加盟店に卸されていますので、利益率の高い営業を行うことが可能です。
収益のモデルケースでも述べたように利益率が30%と非常に高いのは、商品の卸価格が特別価格で降ろされている点が大きいといえるでしょう。
(4)担当者による定期的な面談で不安を解消
和菓子店経営ともなると、あなたはオーナーとしてお店を切り盛りしなければいけません。
オーナーともなれば、経営上のさまざまな悩みが出てきます。
しかし、相談相手がなかなかおらず悩みが解消できないというオーナーが多いのです。
フランチャイズに加盟することにより、担当者との定期的な面談などで悩みや不安を相談することができます。
担当者は今まで和菓子店を経営するオーナーとのやり取りから悩みを解消するアドバイスなどが的確なことも多く、良き相談相手となるでしょう。
フランチャイズで和菓子屋を開業するメリット
フランチャイズに加盟して和菓子店を開業することにより、本部のさまざまなサポートを受けることが可能です。
このようなサポートの影響もあり、フランチャイズに加盟しての経営にはさまざまなメリットがあります。
ここからは、フランチャイズに加盟して開業する場合のメリットについて解説しましょう。
(1)成功ノウハウを受け継いで経営ができる
フランチャイズ経営とは、本部の成功したノウハウや有名な屋号、経営ノウハウをパッケージ化されたものを使って加盟店が経営していくビジネススタイルです。
成功ノウハウが引き継がれた加盟店で経営ができますので、成功の可能性が非常に高いビジネススタイルといえます。
(2)心配事も担当者に相談できる
先ほどサポートの面で言及しましたが、和菓子店オーナーともなると経営上のさまざまな悩みに直面します。
しかし、経営上の悩みなどを相談できる相手もおらず、従業員に相談するわけにもいきません。
フランチャイズに加盟することによって本部の担当者に悩みを相談することができます。
フランチャイズ本部の担当者はいくつもの加盟店とのやり取りで悩み相談などを受けているケースが多く、的確なアドバイスに期待が持てるといえるでしょう。
(3)売れているメニューを提供できる
基本的に、フランチャイズに加盟することにより、和菓子の製造は全て本部が一括で引き受けます。
本部で全国的な売れているメニューなどの集計ができますので、売れているメニューを多めに仕入れ、売れていないメニューは控えるといったことも可能です。
本部の綿密なデータが利用でき、売れているメニューがわかりやすいといった点もメリットといえるでしょう。
(4)未経験からでも開業が可能
これもフランチャイズ本部のサポート面で言及しましたが、未経験でも開業が可能です。
本部の成功したノウハウが利用できる点と研修制度が充実している点が挙げられます。
本部は加盟店が質の悪い経営を行っていると悪評が本部に影響しますので、研修制度を充実させ、加盟店にもしっかりとした経営ができるように教育しなければいけません。
これも大きなメリットといえるでしょう。
フランチャイズで和菓子屋を開業する注意点
フランチャイズに加盟するのはメリットばかりではありません。
フランチャイズに加盟する場合に注意する点などがありますので、こちらもしっかりと認識しておかなければいけません。
ここからは、フランチャイズで和菓子店を開業する注意点について解説します。
(1)自由に経営ができるわけではない
フランチャイズ本部に加盟することで本部の成功したノウハウを利用して経営できる点は繰り返し解説しました。
本部の成功ノウハウは利用できますが、オリジナルの経営はできません。
例えば自分たちで独自の商品を販売することなどは禁止されているケースがほとんどでしょう。
基本的に本部は加盟店に横並びの経営スタイルを求めます。
自由に経営ができない点が注意点のひとつです。
(2)廃業するときに違約金がかかる可能性がある
いくらフランチャイズに加盟して開業したとしても必ず成功するとは限りません。
中には途中で経営に断念し廃業となるケースが考えられます。
しかし、フランチャイズに加盟して途中で廃業となると違約金がかかるかもしれません。
廃業にかかるコストとともに違約金がかかるので注意点となります。
(3)本部の不祥事に影響されやすい
加盟店は、本部の屋号やメニューが利用できますので、開業当初から一定の集客や売り上げが期待できます。
本部のブランドが大きいためです。
そのため、本部の不祥事や悪評などに左右されやすい点が注意点として挙げられます。
加盟店がいかに堅実な経営を行っていたとしても、本部の不祥事などで同じ屋号を使っていると、悪影響をもろに受けやすいのです。
これも注意点として挙げられます。
(4)損益分岐点が高い
フランチャイズに加盟しての経営では、ロイヤリティがかかるケースが多いことは前述しました。
本部の屋号やメニュー、経営を使って運営する利用料といえます。
ロイヤリティは毎月の売上の数%であるケースが多く、個人経営にはかからないコストがかかります。
そのため、個人経営よりどうしても損益分岐点が高くなってしまう点がフランチャイズ経営の特徴です。
余分にコストがかかる点も注意しなければいけません。
まとめ
和菓子は、日本の文化に深く根付いたスイーツで幅広い層に人気です。
フランチャイズにより和菓子店を開業したい場合の売上やコストといった点について解説しました。
利益率も高く開業資金は750万円程度必要です。
しかし、底堅い需要や日本固有の文化に寄り添っている食べ物ですので、廃れにくい点が魅力といえます。
和菓子店の開業を検討している人は是非この記事を参考にしてはいかがでしょうか。