弁当屋の開業方法は?開業に必要な資金や免許についても解説
2019年の発生した新型コロナウイルスの猛威により、軒並みダメージを受けたのは飲食店関係です。
しかし、同じ飲食業でも、その場で飲食せずにテイクアウトする中食スタイルの弁当屋は順調に業績を伸ばしています。
飲食店よりも比較的開業にかかる資金も少ないことから、弁当屋の開業を検討している方も多いのではないでしょうか。
この記事では、弁当屋を開業する方法や、開業資金、開業に必要な免許などについて詳しく解説します。
弁当屋を開業する場合の開業方法
弁当屋を開業する場合、いくつかの販売スタイルがありますので、自分の好みに合った業態で開業することが可能です。
弁当屋を開業する場合の開業方法について詳しく解説します。
(1)一般的な店舗を構えて販売する
最も一般的な業態として店舗を構えて弁当を販売する店舗型が挙げられます。
お客様が店舗に足を運び、弁当を購入するスタイルです。
お客様が来店しやすい場所に店舗を構える必要がありますので、立地の影響は非常に大きいといえるでしょう。
人通りが多い店舗を選ぶと、一定の集客が見込めますが家賃などが高くなる傾向にありますので、運営費とのバランスを考えて出店する必要があります。
また、店舗を構えるため、近隣のライバル店などもしっかりと調査したうえで出店することも重要です。
長く営業できると自然に固定客も付きますので、比較的安定した収益を得ることができる可能性が高くなるでしょう。
(2)宅配に特化した弁当屋にする
会社や個人から弁当の注文を受けて、宅配するスタイルが宅配型です。
店舗型ほどエリアに左右されませんので、立地にあまり影響されないのが特徴といえます。
しかし、宅配するときの自転車やバイク、車を準備する必要があり、宅配にかかるコストを計算しておく必要があります。
お客様が来店するわけではありませんので、そう広い店舗にする必要はありません。
近年、高齢者が増加していることから、わざわざ店舗に出向いて注文することが難しい方などの利用が増えています。
宅配の量などにより、使用する宅配カーや自転車の数を検討しなければいけないでしょう。
(3)キッチンカーでこちらから出向く弁当屋にする
車に調理の設備を整えて、弁当をつくって販売するスタイルがキッチンカータイプです。
オフィス街や、学校付近、住宅街といった多くの人がいる場所に自ら出向き弁当を販売します、
店舗型や宅配型などと比較すると、開業にかかるコストを抑えやすく、近年キッチンカーの出店が増えています。
機動力が高いので、お客様が多そうなエリアに出向き販売することが可能です。
店舗型のようにお客様を待つのではなく、こちらから向かうという点が、大きく異なるといえるでしょう。
店舗型などと比較して開業にかかる費用を抑えられるといったメリットがありますが、車両の維持管理費が必要です。
また、雨天などはどうしても人が少なくなりますので、天候に左右されやすいともいえます。
弁当屋開業に必要な営業スタイルごとの開業資金
ここまでは弁当屋を開業する販売スタイルについて詳しく解説してきました。
ここからは弁当屋の業態ごとにかかる開業資金について詳しく解説します。
(1)最も高額なのが店舗型
最も高額な資金が必要になるのが店舗型です。
店舗型の場合、前述したように、お客様に出向いてもらわなければいけません。
そのため、人通りの多いエリアに店舗を構えようとすると家賃が高くなってしまい敷金や礼金など初期にかかる費用にも影響します。
また一定の広さが必要で、設備導入費なども宅配型やキッチンカータイプよりもかかりやすく、初期費用は店舗型が最も高額になりやすいでしょう。
一般的な開業資金として700万円〜1,200万円程度を見ておかなければいけません。
高額な初期投資が必要ですが、一旦安定した集客ができると、安定した収益になりやすいのが店舗型の特徴といえるでしょう。
(2)店舗は安いが車両費が必要な宅配型
店舗型よりも店舗取得費に大きな費用がかからないのが宅配型です。
店舗内でお客様を待たせる必要がありませんので、調理ができる広さがあれば十分といえます。
また、お客様が出向く必要がありませんので家賃が高い人通りの多いエリアに店舗を構えなくていいでしょう。
店舗型よりも費用がかかる部分は宅配用の車両を準備する点です。
自転車、バイク、車両などから選ばなければいけません。
一般的な開業資金として550万円〜950万円程度の資金が必要です。
店舗型よりも初期投資が若干安くなる点がメリットといえます。
(3)資金がないならキッチンカー型が安い
わざわざ店舗を構える必要がないキッチンカー型は、弁当屋の中で開業資金を抑えやすいといえます。
キッチンカーはノーマルの車両に独自に厨房などを備え付けるのではなく、あらかじめキッチンカーとして販売されている車両を購入して弁当屋を始めます。
店舗などと違い、もともと設備が設置されているので、店舗の取得から内装工事を行う費用よりも安くなる傾向です。
中古のキッチンカーなどを購入すれば、さらに開業資金を抑えられます。
一般的な開業資金として450万円〜850万円程度見ておくといいでしょう。
弁当屋開業における資金調達方法
弁当屋の開業資金をそれぞれの業態に合わせて解説しました。
店舗型が最も高くなりやすく、キッチンカータイプは開業資金を抑えられやすいといえます。
ここからは、開業資金の調達方法について詳しく解説しましょう。
(1)自己資金で開業する
自己資金で開業する方法が挙げられます。
最大1,200万円程度で開業が可能ならば、自己資金で開業することもそう難しいことではありません。
開業資金分を自己資金で賄うことができると、万が一廃業してしまっても、自己資金が無くなるだけですので借金を背負うことがないといえます。
自己資金が多ければ多い程、弁当屋の開業にチャレンジしやすくなるでしょう。
(2)金融機関の融資を受ける
自己資金で開業資金に足りない場合は、金融機関の融資を受けて資金調達することが考えられます。
事業計画書がしっかりしている場合や、担保などがある場合は金融機関の融資を受けやすくなるでしょう。
金融機関によって融資できる最大額や貸出金利などは異なりますので、融資を受ける際は、条件が良い金融機関を選択することも大切なポイントです。
(3)日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫とは、国が100%出資している金融機関です。
中小企業や個人事業主などの融資が、民間の金融機関に比べると有利といわれています。
銀行などよりも金利が低く、審査の内容も民間の金融機関より柔軟だともいわれており、特に事業を始めて日が浅い方や、今から事業を始める方にはおすすめです。
(4)補助金や助成金の活用
国や地方自治体では、事業者を対象とした補助金や助成金などを出している場合があります。
自治体ごとに条件が異なるケースや、補助金や助成金の額なども異なりますので、必ず利用できるとはいえませんが、利用できると、自らが投資する資金を抑えることが可能です。
一例をあげると、創業者支援事業補助金や小規模事業者持続化補助金などが挙げられます。
このような補助金も効果的な資金調達方法です。
弁当屋開業に必要な資格はなにがある?
弁当屋開業ともなると、食を扱いますのでいくつかの免許や資格が必要になります。
ここからは弁当屋開業に必要な資格などについて詳しく解説します。
(1)食品衛生責任者
飲食店開業時に必要なのが、食品衛生責任者の資格です。
都道府県が実施している講習を受講することにより取得可能で、6時間の講習とテストがあります。
(2)営業許可
弁当屋開業において、地域を管轄する保健所に営業許可申請が必要です。
どのタイプの弁当屋でも申請が必要になり、申請が通らなければ弁当屋を開業できません。
保健所の立ち入り検査が店舗完成の10日前くらいから行われ、立ち入り検査に合格して営業許可が取得できます。
営業許可の取得は、立ち入り検査から2週間程度の期間を要し、許可が下りるまでは開業することができません。
細かなスケジューリングが必要です。
(3)自動車免許
特にキッチンカータイプの開業に欠かせないのが自動車免許です。
宅配型の弁当屋でも宅配に車やバイクを利用する場合は自動車免許が必要になります。
キッチンカータイプや宅配タイプは、交通事故や交通違反に注意しながら、業務を行う必要があるでしょう。
弁当屋開業を成功させるコツ
弁当屋の開業について、開業の業態や開業資金、開業に必要な資格などについて解説しました。
では弁当者の開業を成功させるにはどのような点に注意しておくと良いのでしょうか。
ここからは、弁当屋の開業を成功させるコツについて詳しく解説します。
(1)コンセプトを重視する
個人経営での開業となりますので大手資本のライバル店と競合しなければいけません。
大手資本のような資本力がない分、コンセプトを明確にしておく必要があるでしょう。
コンセプトが明確になると、ターゲットもおのずと決まってきます。
(2)SNSを効果的に使う
宣伝広告に対して力を入れましょう。
しかし、宣伝広告費に資金を投入しすぎてしまうのも経営を圧迫する要因となってしまいます。
近年ではSNSなどの活用により口コミでお客様が増えるケースも多く、見栄えの良い商品を提供すると、思わぬ集客効果があるかもしれません。
周辺に絞ったチラシ配布やポスティングなども効果的です。
コストパフォーマンスに優れた宣伝広告にはSNSなどの活用が効果的といえるでしょう。
(3)ターゲットを設定し価格を調整する
ターゲットを対象にしたサービスやメニューつくりによってニッチな層を取り込むことが可能です。
すべての層をターゲットにするには、資金的にも厳しいケースが多いので、まずは競合他社との差別化を図る取り組みが必要になるでしょう。
大手資本の資本力に対抗するにはターゲットを絞った戦略を実施し、このターゲットにだけは絶対に負けないといった特色を出すことも重要になります。
ターゲットに向けた価格設定やメニュー提供などがポイントといえるでしょう。
(4)メニューにオリジナリティを持たせる
メニューに対してのオリジナリティも必要です。
この弁当屋といえばこのメニューなど、お店の顔となるメニューが開発できると知名度は一気に増すことになるでしょう。
大手資本の競合店と同じようなメニューだと、資本力に物を言わせた取り組みにより不利な立場になってしまうことも多くなります。
大手の競合店とは明確に差別化したオリジナリティのあるメニュー構成にすると、競合する可能性も低くなり、独自の路線で拡大することも可能です。
メニューに対するオリジナリティも成功するポイントのひとつといえるでしょう。
まとめ
弁当屋の開業について解説しました。
弁当屋は中食産業の高まりにより、ここ数年伸びている業種です。
店舗型、宅配型、キッチンカー型などから開業の方法が選択できる自由度の高さも特徴といえます。
食を扱いますので衛生管理には常に注意を払い清潔な環境下の中、ビジネスを行う必要があるでしょう。
弁当屋はエリアごとに点在が可能ですので、複数店舗開業による収益拡大なども期待できる業種です。