フランチャイズ加盟を必ず成功に導くための方法と注意点を解説
自力で独立する場合と比較して、フランチャイズビジネスではブランド本部からのサポートがある分、事業で成功できる確率は高いと言われています。
とはいえ、ビジネスオーナーとして独立するのですから、ブランド本部に頼りきりではなくオーナー自身でも成功のための工夫や努力が必要です。
しかし、初めて開業する場合、成功のために何をすれば良いのか分からない方も少なくありません。
準備から開業までの道筋がいま一つ明確に見えていないこともあるでしょう。
この記事では、フランチャイズオーナーとして開業を検討している方に向けて、フランチャイズで成功するためにやるべきことをまとめました。
目次
需要の見込めるビジネスを探す
フランチャイズビジネスにおいて業界を選ぶ基準はいくつか存在しますが、需要の見込める業種を選ぶことが一つの方法です。
フランチャイズオーナーとして開業する際にまず決定すべき業種選びに関して解説します。
(1)供給の不足している業界を検討する
フランチャイズオーナーとして新規参入するのであれば「需要に対して供給の不足している業界・業種を選ぶ」ことが選択肢の一つとなります。
供給過多の業界は店舗や会社どうしの競争が過熱しており、成功するための難度が高いためです。
たとえば、介護ビジネスは高齢層の増加を背景として需要過多の状況にあり、新規参入者でも比較的利益を出しやすいと言われています。
業界の需要を測るうえで大切なのが、需要過多のビジネスを知るべくアンテナを広く張ることです。
経済ニュースやインターネット、セミナーへの参加など、さまざまな方法で情報をキャッチできるようにしましょう。
(2)既存のビジネスを継承できるケースもある
独立開業を目指す場合フランチャイズオーナーとしての開業が選択肢に入りますが、既存のビジネスを継承できるケースもあります。
後継者のいない店や事業は多く存在するため、うまく継承できれば会社の資産やノウハウを継いで独立できます。
ただし、既存の事業の継承は思い立ったときにすぐにできるわけではありません。
多くの場合従業員として働いた実績が必要となり、この点はフランチャイズビジネスとは大きく異なるポイントです。
市場調査をおこなう
ある程度の出費を許容できるのであれば、マーケティングリサーチ会社による市場調査を利用できます。
市場調査はフランチャイズ本部でおこなっている場合もありますが、エリアの需要は自分でも調べておいた方が正確に販売戦略を練りやすくなります。
(1)そもそも市場調査とは?
市場調査とは、企業が商品・サービスの販売促進のためにおこなう調査のことです。
市場規模や顧客の需要・将来的な動向などの情報を得られます。
調査結果は商品開発や販売価格の決定、売れ行きの予測などに利用されます。
(2)市場調査における調査内容
①ブランドイメージ
自社の商品と競合商品のイメージが調査されます。
場合によって対象は商品のブランドだけでなく、企業全体のイメージにまで広がることもあります。
②消費者のニーズや要望
商品・サービスを購入する消費者の潜在的な需要を分析し明確にします。
新製品開発や既存製品改善にも活用されます。
③商品・サービスの価格
利用者層が手を出しやすい価格も調査対象です。
いくらなら購入してくれるのか、エリアによって価格に差をつけるのか、などを決定する基準となります。
④販路調査
顧客層に対してどのようにアプローチするかを調査します。広告を展開する媒体や時間帯など、具体的な認知度向上手段を決定する判断材料になります。
(3)調査方法
①定量調査
量や認知割合(%)など、数値化が可能な要素を調査します。
認知率やエリア別購買率などが主な調査対象です。
定量調査をおこなう方法の具体例は以下のとおりです。
【定量調査の方法(一例)】
- 訪問調査
- 電話調査
- FAX調査
- インターネット調査
- 街頭調査
- 郵送調査
②定性調査
「商品やサービスの利用率が高いのはなぜか」「どのような点で好まれているのか」など、
数値化の難しい要素を調査します。調査方法の具体例は以下のとおりです。
【定性調査の方法(一例)】
- インタビュー調査
- ショップアロング調査(購入者に直接尋ねる調査)
- 行動観察調査(対象者の行動を観察し行動パターンや心理を分析する調査)
- ミステリーショッパー
(4)調査にかかる費用や納期
定量調査・定性調査にかかる費用や規模は以下のとおりです。
調査方法 | サンプル数 | 費用 | 納期 |
定量調査 | 50~1000 |
数万~数百万 ※調査内容に応じる |
~6週間 |
定性調査 | 30~60 | ~200万程度 | ~8週間 |
費用や納期は調査内容に応じて異なるため、まずはマーケティング会社に相談し見積もりを取得することをおすすめします。
フランチャイズブランド選びは慎重におこなう
どのフランチャイズブランドを選ぶかは、独立の成功を左右する重大なポイントです。そのためブランド選びは慎重におこなう必要があります。
では、どのような方法でフランチャイズブランドを選べばよいのでしょうか。具体的な方法を見てみましょう。
(1)加盟店募集情報の探し方
まずは、加盟店を募集しているフランチャイズブランドを探します。
加盟店の募集は、ブランドの募集専用サイトや公式サイト、説明会などでおこなっています。
インターネットを中心に募集情報を探してみましょう。
(2)フランチャイズブランドを評価するポイント
フランチャイズブランドへの加盟を検討する際、その可否はどのように判断すればよいのでしょうか。
ブランド本部を評価する際にチェックすべきポイントを紹介します。
①本部の経営方針
- 経営陣のビジネスに対する考え方
- フランチャイズ運営に関する方針
- 将来的な経営方針
②ブランドの公開情報
- ホームページの充実度
- 従業員数や資本金・会社沿革
- フランチャイズ事業年数
- 出店数と閉店数(新規加盟数・事業中止店数など)
ブランドを運営できるだけの資力があるか、実績は十分かなどを確認しておきましょう。
③フランチャイズ事業の将来性
- ブランドの知名度
- 商品供給の安定性
- 新商品の開発能力
商品の需要や魅力は、今後フランチャイズビジネスで長く利益を生めるかどうかを左右します。
この点も忘れずに確認しましょう。
④サポートの充実具合
- 開業サポートや研修の有無
- 地域担当者の問題解決フォロー
- 独自の販売戦術の有無
- 広告宣伝の内容や手段
問題解決発生時の担当者によるフォローや、独自の販路があれば魅力的です。
⑤フランチャイズビジネスの収益性
過去の実績から「どの程度の収益が上がるのか」「初期投資回収までにどの程度かかるのか」を確認することは非常に重要です。
この点もしっかりと確認しましょう。
⑥加盟店からの評判
ブランドが既存の加盟店からどのように評価されているかも確認しておきます。
直接話を聞ける機会があれば、具体的にどのような点が評価に値するのか、不満なのかを聞いてみるのも良い方法です。
(3)説明会に参加してみる
加盟先候補のフランチャイズブランドがあれば、一度は説明会に参加することをおすすめします。
事前に担当者から話を聞くことができる貴重な機会です。
説明会に参加する際は、事前に確認したい内容をリストアップし、必要に応じて質問してみましょう。
メリットを強調してリスクの話を一切しないなど問題がある場合、加盟は見送った方がよい場合もあります。
説明会によっては現役の加盟店オーナーが質疑応答に参加していることもあります。
体験談を聞けるのでぜひ話を聞いてみましょう。
(4)未経験可能・売上保証期間ありという言葉に安易に飛びつかない
加盟店募集にあたり「未経験可能」「売上保証期間あり」とうたって募集をおこなうブランドもあります。
一点注意が必要なのですが、これらは必ずしも開業後の実態に即していない場合があるため、安易に契約しないよう注意が必要です。
たとえば「未経験可能」として募集がかかっているブランドは「業種未経験OK」なのか「自営業初心者OK」なのかで意味合いが大きく異なります。
契約前にどの程度の知識・スキルが必要なのか、現状不足している場合研修などは受けられるのか確認が必要です。
また「売上保証期間あり」として募集されていると「売上保証=生活の保証」と受け取りがちですが、これは必ずしも正解とはいえません。
加盟店募集における売上の保証とは、売り上げが基準に満たない場合に経費と従業員の給料を保証するという意味であることが多いです。
そのため「売上保証=売上ゼロでも生活できる」ではありません。
以上二点には注意が必要です。
販売戦略の策定と収支のシミュレーションをおこなう
フランチャイズビジネスで生き残るには「どの層にどのような商品を」「どうやって売り」「収支はいくらになるか」を事前に練らなければなりません。
この点を明確にしたものが、販売戦略と収支シミュレーションです。
(1)販促の方法
販売戦略や販促の方法に関しては、フランチャイズ本部が作成したものを渡されたり、方法を指定されたりすることもあります。
ただし、本部の作成した販売戦略を鵜呑みにしてしまうと、不測の事態が発生した際に対応しきれなくなる可能性もあります。
そのため、自分なりにエリアの需要を分析し、販促のための戦略を練ることが重要です。
①ターゲットとなるエリアの需要を分析する
まずビジネスの対象エリアを定め、住人の層から需要を分析します。
各エリアの住人は「学生が多い」「ファミリー世帯が多い」などある程度決まっているため、内容に応じた商品開発が必要となります。
その後、客層にアプローチするべく適した宣伝方法を考えていきます。
【宣伝方法の例】
- チラシのポスティング
- Webサイト経由で集客
- SNSを利用した認知度アップ
- Line@で宣伝活動をおこなう
それぞれかかる費用や割かれる時間が異なるため、予算に応じたものを選んでみてください。
(2)収支シミュレーションの例
事業運営をシミュレーションするのであれば、収支がどの程度になるかをあらかじめ把握しておく必要があります。
これによって必要な資金の額や事業の成長度合いを測ることができるからです。
ここでは、学習塾を例に挙げて、発生する費用のシミュレーションをしてみましょう。
①初期投資
開業の際にかならず必要になるのが初期投資です。
おもに店舗や設備の調達に発生する費用のことで、ほとんどの業種で多少なりともかかります。
学習塾の場合、以下のような費用が発生します。
費用項目 | 金額 |
加盟時の経費(加盟金・保証金など) | 200万円 |
教室の調達初期費用 (15畳程度の広さを想定) |
45万円 |
机・椅子(10セット) | 13万5,000円 |
ホワイトボード | 2万円 |
電気・インターネット初期費用 | 4万円 |
パソコン | 4万円 |
看板製作・設置 | 5万円~15万円 |
棚 | 2万円 |
文房具・事務用品・その他雑費 | 2万5,000円 |
合計: | 約280万円 |
②月の収支
次に、月の収支を確認してみましょう。前述の条件の学習塾の場合、一例として以下のような収支になります。
収入 | 支出 |
62万5,000円 | 家賃:10万円 |
(月額2万5,000円×25人) | 通信費:2万円 |
光熱費:2万5,000円 | |
雑費:1万円 | |
人件費:15万円 | |
コピー機リース料:2万円 | |
ロイヤリティ:売上の15% | |
収支合計: | +20万6,000円 |
なお、上記の計算はあくまで一例です。業種や加盟先に応じて収支は大きく変動する点に注意してください。
ブランド本部から加盟店へのバックアップ体制をチェックする
フランチャイズブランドから加盟店に対するバックアップ体制が用意されているかも要チェックポイントです。
とくに、個人事業主としての開業が初めての場合、税金の申告など基本的なこともよく分からない、という方も珍しくありません。
とくに、フランチャイズビジネスの税金の申告は独特なため、必要に応じて質問できる体制があると安心です。
まとめ
フランチャイズビジネスで成功する要点は「自分にあった業界と加盟先を慎重に選ぶ」「収支のシミュレーションを綿密におこなう」「マーケットに応じた販売戦略を立てる」の三点です。
とくにブランド選びでは、説明会への参加や先輩加盟者の話を聞くなど、情報収集を積極的におこないましょう。
上記三点をしっかりと固めることが成功への近道ですので、しっかりと準備したうえで開業してください。