シニア起業で失敗しないための注意点とポイントを解説
高齢化社会に伴い、定年後も仕事に就く人は増加しています。
今まで働き続けてきた会社で再雇用してもらって働くことや、新しくアルバイトやパートとして働くこともできますが、せっかくなら起業したいという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、シニア起業で失敗しないための注意点やポイントなどを解説します。
シニア起業のメリット・デメリット
シニア起業とは、定年退職や早期退職をした50~60代のシニア世代による起業を指します。
終身雇用制度が崩壊したことや、寿命が延びていることなどにより、シニア起業を考える人は増加しています。
シニア起業にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
(1)メリット
シニア起業することのメリットからみていきましょう。
①経験やスキルを生かせる
シニア起業では、定年退職や早期退職までの長い社会人生活で得た経験やスキルなどを生かせるというメリットがあります。
これまでに培われたビジネスの知識や経験、ノウハウは、さまざまなビジネスで応用することができます。
退職まで働いてきた業種とは異なる業種で起業する場合でも、ある程度のビジネスの基本は既に身についているはずです。
また、同じ業種で起業する場合は、これまでの知識やスキルを存分に生かすことができます。
②年金以外の収入を得られる
定年退職後に働かない場合、毎月の収入は基本的に年金のみになります。
これまでの貯蓄があったとしても、年金のみで老後の生活をすることは心寂しいと感じる方も少なくありません。
旅行や趣味など老後を楽しみたいと考えればお金が必要になります。
起業をして軌道に乗れば年収以外の収入を得られるようになりますし、事業が上手くいけば収入を大幅に増やせます。
③新たにやりがいを見つけられる
定年を迎えて退職すれば、時間ができるようになります。
新たなことにチャレンジできる機会ですし、起業することで老後のやりがいを見つけられます。
定年後も現役で働くことは、身体や心が衰えていくことの予防にもなるでしょう。
④自己資金が多い
若い頃に起業するには、自己資金が少ないので初期費用や運転資金は借金することになるケースが多いです。
一方で、シニア起業ならこれまでの貯蓄や退職金などの資金があり、自己資金で起業することができます。
自己資金で初期費用や運転資金を補えば、金銭面のリスクは抑えられます。
生活費が減ってしまうという心配があるかもしれませんが、年金などで生活に必要な最低限は補えるでしょう。
⑤シニア向けの助成金を利用できる
シニア起業は政府も推進しており、国や各自治体でシニア向けの起業支援制度が設けられています。
利用できる要件はそれぞれ異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
国が実施する制度は「新規開業資金(女性、若者、シニア起業化支援)」とされるもので、新たに事業を始める人や事業開始後7年以内の人のうち女性または35歳未満か55歳以上ならば支援を受けられます。
(2)デメリット
シニア起業は、メリットばかりではなくデメリットもあります。
①体力面の不安
年齢にともない体力は衰えていくため、仕事をしていて体力的に辛いことも増えていきます。
ましてや起業するとなれば、事業が軌道に乗るまでは会社勤めをしていた頃以上に働かなければならないかもしれません。
ただし、自分が事業主になるということは、働く時間や量なども自由に調整できます。
体力や体調に合わせた働き方をすれば体力面の不安は解消されるでしょう。
②全てが自己責任になる
シニアだけに限ったことではありませんが、起業するとなれば事業の運営や事務作業、在庫管理、広告、資金に関することなど全てが自己責任になります。
会社に属していた時には部署ごとに割り振られていた業務内容も、起業をすれば自分一人でこなさなければなりません。
なれない経理業務なども行わなければならないでしょう。
人を雇えば業務を分散させられますが、人を雇える余裕が出るまでは一人で全ての業務を行うことになります。
③過去の経験や功績、プライドが邪魔することもある
シニアで起業することは、これまでの過去の経験やノウハウなどを生かせるというメリットがある反面、過去の経験や功績などがデメリットになることもあります。
「こうやって仕事をしてきたから大丈夫」「自分にはこれまでの功績があるからやっていける」など過去の成果や功績にしがみついてしまうと、柔軟な考え方をすることができません。
プライドが邪魔をしてしまい、新しい意見を取り入れられずに頑固になってしまうケースも多いです。
こうした過去の経験やプライドが原因で事業が上手くいかなくなることもあるので、注意が必要です。
シニアで起業をする方法
シニアで起業する方法は大きく分けると3種類の方法があるといえます。
それぞれの起業方法の特徴についてみていきましょう。
(1)これまでと同じ業種で開業する
退職するまでの長い期間働いてきた業界なら、これまでに培った経験や知識、ノウハウ、スキル、人脈などを生かすことができます。
例えば、コンサル会社に勤めていたのであれば、コンサル業を開業するというように同じ業種で「独立」したという形と同様の方法で起業できます。
人脈を生かせば起業当初から顧客の獲得も期待できますが、会社勤めと起業では携わる業務の規模や量も異なるため、同じ業種での開業が現実的であるのかどうか一度検討してみる必要があります。
(2)やってみたかったことで個人開業する
「やってみたいと考えていた業種」「子どもの頃からの夢」など、これまで働いてきた業種や業界とは全く異なる業種で起業するという方法もあります。
知識やノウハウがないため、起業前に多くの情報を収集して勉強をすべきです。
アルバイトなどで実際に働いてみてノウハウを身につけ、その後に開業するという方法もあるでしょう。
個人開業では店舗の立地やサービス、価格設定、メニュー内容など全てを自分で決めなければならず、起業のリスクも大きいです。
(3)フランチャイズで開業する
これまでと同じ業種を選ぶ場合も、新たな業種を選ぶ場合も、個人で開業する方法ではなくフランチャイズに加盟して開業するという方法があります。
フランチャイズに加盟して開業すれば、フランチャイズ本部がこれまで培ってきたノウハウやスキル、ブランド名などの商標を利用することができます。
すでに成功している本部の商標やノウハウにより、開業してすぐの状態でも一定の集客を期待できる点がメリットです。
ただし、フランチャイズで開業するには本部と加盟契約を結び、加盟金としてまとまった金額を支払う必要があります。
シニア起業で失敗しないためのポイント
シニア起業するのであれば、できる限り失敗は避けたいものです。
シニア起業の失敗しないためのポイント、失敗のリスクを軽減させるポイントをご紹介します。
(1)ビジネスは小規模から始める
老後の生活の貯蓄も考えて稼いでおきたいと考え、事業規模を最初から大きく設定するような方もいます。
しかし、最初から事業規模を大きくしてしまうと、失敗のリスクが高くなります。
できる限り赤字を出さないように少しずつビジネスを始め、収益の状態を見ながら段階的にビジネスを大きくしていくことが大切です。
(2)経験のない業種は避ける
「退職後には好きなことを仕事にしてみたい」と、昔からの夢や趣味などを基盤にした業種を選ぶ方も少なくありません。
稀に成功するような例もありますが、経験のない業種を選んでしまうと多くは失敗します。
その理由は、業界におけるノウハウや経験、スキルなどが不足しているからです。
一方で、経験のある業種を選べば経験や知識、スキルを生かすことができ、ビジネスとして事業を確立させやすいでしょう。
どのようにすれば成功するのか理解しているため、失敗のリスクを軽減できます。
(3)必要に応じて専門家のサポートを受ける
起業をすれば、日常の税務業務や確定申告など慣れない業務も行わなければなりません。
こうした業務を怠れば税務調査の対象になり、追徴課税などのペナルティを科せられる可能性があります。
自分で対処の難しい業務に関しては、税理士や司法書士など専門家のサポートを受けましょう。
また、経験のない業種で起業したい場合は、フランチャイズなどすでに成功したモデルを利用するという選択肢もあります。
資料請求や説明会の参加を行い、検討してみてもよいでしょう。
(4)家族の理解と協力が必要
シニアに限ったことではありませんが、起業するには家族の理解と協力が必須です。
とくにシニア起業になると、家族は老後の生活への不安や本人の健康面での心配などが出てきてしまいます。
起業したい理由や、家族の不安を解消できる説明などを行ない、家族に納得してもらうことが大切です。
起業する前にしっかりと話し合い、理解と協力を得ましょう。
シニア起業における注意点
シニア起業をするのであれば、いくつか注意すべき点があります。
あらかじめ注意点について理解し、シニア起業の準備を進めましょう。
(1)マネープランの立て方
シニア起業する場合は、マネープランの立て方に注意が必要です。
事業資金と老後資金は分けてマネープランを立てなければなりません。
定年を迎えれば年金生活になるため、老後資金はあらかじめ準備しておくことが大切です。
この老後資金を考慮せずに起業すれば、準備金に多くのお金を使ってしまうことになり、回収できるまで生活が苦しくなってしまいます。
起業が失敗すれば老後資金まで失ってしまう可能性があるので、起業する前にしっかりマネープランを立てておきましょう。
(2)労働時間
起業から事業が軌道に乗るまでは、どうにか起業を成功させようと必死に仕事をしてしまう方も少なくありません。
しかし、シニア世代は体力も衰えており、無理をすれば健康面に影響してしまいます。
1日の全てを労働に割くのではなく、体調管理をしながら無理のない範囲の労働時間に抑えましょう。
運動や趣味の時間なども取り入れ、老後人生を豊かにすることがシニア起業に必要なことといえます。
(3)起業する方法
シニア起業ではできるだけリスクを軽減するために、起業する方法も検討しなければなりません。
まず、退職してから起業するのではなく、副業として先に起業しておいてから退職後に本業として事業を続けるという方法があります。
近年では副業を認める会社も多く、休日や仕事の後に時間を割いて老後の新しい仕事としての準備を進めやすいです。
次に、副業で起業する場合や、退職後にシニア起業する場合には、過去に経験したことのある業種での起業や、フランチャイズでの起業などできるだけ起業リスクの少ない方法を選びましょう。
フランチャイズに加盟して起業すれば、本部の商標が使えるだけではなく、経営ノウハウの伝授や起業後のサポートなども受けられるため、起業で失敗するリスクを軽減できます。
まとめ
シニア起業したいと考える人は今後も増加する傾向にあると考えられます。
老後のやりがいや生活を考え、退職前からシニア起業に向けて準備を進めるとよいでしょう。
シニア起業でフランチャイズを選ぶ場合には、フランチャイズ本部選びが重要なポイントになります。
さまざまな本部が存在し、それぞれ特徴やサポート体制、加盟金の金額など異なる点は多いです。
複数の本部の資料を請求して、比較検討してみてください。