個人塾開業に必要な資金は?年収や開業の流れやポイントも解説
個人塾の開業を検討する際には、開業資金や開業後の年収、成功させるためのポイントなどが気になるという方は多いのではないでしょうか。
個人塾の開業を成功させるには、しっかりと準備をすることが大切です。
この記事では、個人塾を開業した場合の年収や開業に必要な資金、開業のためのポイントについて解説しています。
個人塾経営を目指す人の参考になれば幸いです。
目次
個人塾を開業した場合の年収はどれくらい?
個人塾を開業する場合、どれくらいの年収を得られるのかあらかじめ想定しておきたいものです。
個人塾を開業した場合の相場年収はどれくらいになるのでしょうか?
(1)個人塾経営の相場年収
個人塾を経営する場合、個人塾経営者の一般的な平均年収は約300~500万円程度といわれています。
相場年収で見れば高収入とはいえませんが、経営が上手くいけば年収1,000万円を上回るケースもあります。
塾の規模が大きくなるほど得られる売上は大きくなりますし、運営方法によっては費用を抑えながら運営することで収益を多く得られます。
ただし、開業してすぐに高年収を得られるとは限りません。
個人塾は認知されて生徒の数が増えていくものなので、開業当初は生徒の確保に苦戦することが考えられます。
そのため、ある程度の資金を確保しておくことが大切です。
(2)塾は儲けられるのか?
少子化が進んでいるため、塾を利用する生徒数は減ってしまっているといえます。
しかし、子供を学校以外の場所でも学習させたいと考える親は多く、塾の需要自体は無くならないといえます。
生徒を集めることができれば月謝としてコンスタンスに収入を得ることができますし、生徒が増えて規模が大きくなれば儲けることも可能でしょう。
個人塾の開業で必要な初期費用と運営資金
個人塾を開業するにはある程度の資金が必要になるため、開業で必要になる初期費用や運営資金について把握しておかなければなりません。
個人塾を開業する場合の初期費用や、運営にかかる費用について解説します。
(1)開業にかかる初期費用
個人塾開業にかかる初期費用として、300万円~500万円が必要になります。
初期費用にはさまざまな項目が含まれますが、主な項目は以下の通りです。
- 物件取得費
- 内装費
- 教材費
- 設備設置費
- 広告費
個人塾開業にかかる費用の中で、物件取得費が最も大きな割合を占めます。
個人塾を開業するにあたって物件を借りる場合、100万円前後が必要と考えられます。
もちろん物件のエリアや広さによって家賃は異なりますが、物件の取得には敷金や礼金、仲介手数料などが必要になるため、高額になる傾向にあります。
また、内装にも100万円前後が追加でかかると考えられます。
内装はこだわるほど費用は高くなるでしょう。
その他にも、パソコンや机、黒板などの設備設置には100万円前後が必要になり、開業を宣伝するための広告費も必要です。
(2)運営にかかる費用
個人塾の開業後には、運営していくための資金も必要です。
個人塾の運営にかかる費用は、1ヵ月で200万円前後になると考えられます。
その内訳は、以下の通りです。
- 人件費
- 家賃
- 教材費
- 水道光熱費
- 継続的な宣伝費
個人塾の運営にあたって人件費は、最も高い割合を占めます。
生徒数の数によって雇う人員の数が異なりますが、
売上の30%前後を人件費の目安として考えておく必要があるでしょう。
家賃はエリアや広さによって大きく異なりますが、売上の5~10%が目安です。
また、個人塾ならではの運営費として教材費が発生します。テキストや模試などにかかる費用として1カ月で売上の5~10%程度を占めることが多いです。
その他にも水道光熱費や宣伝広告費も継続的に発生します。
リスクを抑えて個人塾を開業する方法
前項で解説したように、個人塾の開業にはまとまった初期費用が必要になります。
そして、開業から売上が安定するまでの運営費も余裕を持って準備をしておかなければなりません。
個人塾の開業から運営には資金が必要になるため、リスクを抑えられる方法も検討することが大切です。
(1)自宅で開業する
自宅で個人塾を開業すれば、初期費用で大きな割合を占める物件の取得費用を準備する必要がなくなります。
開業当初から物件を借りれば固定費が大きくなるため、自宅で開業することで運営費用も抑えられます。
自宅の一室などで少人数やマンツーマンなどからスタートし、安定してから物件を借りれば開業のリスクは大幅に抑えられるでしょう。
ただし、立地を選べない点や、自宅へ行くことに抵抗を覚える保護者もいる点がデメリットです。
(2)家賃の安い物件を選ぶ
自宅で開業するには設備を置けるような広いスペースが必要になるため、ある程度広い部屋を準備しなければなりません。
そのため、自宅での開業は難しいというケースも多いでしょう。
この場合、家賃の安い物件を選ぶことで開業のリスクを抑えられます。
立地条件の良い物件を選ぶことも大切ですが、開業当初から家賃の高い物件を借りることは危険です。
(3)フランチャイズへ加入する
フランチャイズに加入して塾を開業するという手段もあります。
フランチャイズに加入すれば、本部の知名度を活用した集客を期待できます。
本部の経営ノウハウも取得でき、設備や物件探し、広告などのサポートを受けられるなどメリットは多いです。
ただし、加盟時には加盟金を支払う必要があり、本部によっては月々のロイヤリティの支払いもあります。
個人で塾を開業するメリット
塾の開業をする方法は大きく分けると、個人での開業とフランチャイズへの加盟の2種類があります。
どちらの方法で開業すべきか悩む方も多いのではないでしょうか。
個人で開業するメリットについて解説します。
(1)開業のコストを抑えることができる
フランチャイズに加盟して開業すれば、加盟金や保証料など最初にまとまった資金が必要です。
本部によっては加盟金が百万円単位で必要になることもあります。
塾の開業前に研修に参加しなければならないケースもあり、研修費用なども必要になるかもしれません。
個人で塾を開業すれば、こうした初期費用は必要ないため、開業にかかるコストが大幅に抑えられます。
ただし、フランチャイズでは設備などをレンタルさせてくれるケースなどもあり、設備や物件取得費など別の部分でのコストを抑えられる可能性があります。
(2)自分で自由に決められる
個人の塾経営ならば、何でもオーナーが自分の思い通りに決められます。
塾の方針や教材なども全てオーナーが決めることができ、自分らしさを生かせるという点がメリットです。
一方で、フランチャイズに加盟すれば、教材や指導方法など運営は本部の指示に沿わなければなりません。
教材も本部が準備してくれるので手間を省けますが、オリジナリティが出せないことに物足りなさを感じるオーナーもいるでしょう。
また、もう少し時間をかけて理解をさせたい場面でも、カリキュラム通りの時間しか指導できないことに対し不満を感じる可能性も考えられます。
(3)大手と差別化しやすい
個人の塾なので、独自の指導方針やカリキュラムなどで特色を出しやすいというメリットがあります。
大手塾は指導方針やルールが細かく決められており、自由にカリキュラムを組むことができません。
そのため、大手塾と差別化することができ、大手とは異なる部分を売りにすることができます。
アットホームで生徒一人ひとりに目が届きやすいため、生徒や保護者も安心感を得やすいといえます。
個人で塾を開業するデメリット
個人で塾を開業することはメリットだけではありません。
デメリットもあるため、理解した上で開業方法を検討することが大切です。
ここからは、個人で塾を開業するデメリットについて解説します。
(1)集客に苦労する
個人で塾を開業する場合、知名度が全くないという点が弱みになります。
フランチャイズに加盟すれば、本部の実績や知名度の高さを利用できるため、開業当初から一定の集客が期待できるでしょう。
個人塾は認知度がないため、まずは集客のために広告を打ち出さなければなりません。
しかし、広告にかけられる資金は限られており、個人塾の存在や実績が浸透するまでには時間を要します。
生徒数が増えて、経営が軌道に乗るまでには一定の期間を要することが多い点が個人で塾を開業するデメリットです。
(2)トラブルや問題に自分で対応しなければならない
個人で開業すれば自由にオーナーが決められるというメリットがある反面、トラブルなどが起きた場合に頼れる人がいないというデメリットがあります。
トラブルや問題にはオーナー自身が対応し、解決しなければなりません。
対処法が誤っていれば講師が不満を募らせて辞めてしまうこともあれば、生徒が減ってしまうこともあるでしょう。
経営を持続させるには、さまざまな課題や問題を解決する力が必要です。
フランチャイズで開業すれば、トラブルや問題が起きた際に本部の担当者へ相談することができます。
場合によっては本部で解決してくれるケースもあり、オーナーの精神的な負担も軽減されます。
(3)未経験での開業が難しい
個人で塾を開業するには、塾講師の経験や運営のための知識が必要です。
塾の開業自体に資格は必要ないので誰でも開業できるといえますが、未経験で開業すれば失敗するリスクが高いでしょう。
フランチャイズならば未経験であったとしても、開業前の研修などでノウハウを身につけることができます。
また、開業後も本部がサポートしてくれるため、困ったことがあれば本部へ相談しながらオーナー自身が成長していくことも可能です。
個人塾を開業するための流れ
開業までの流れを把握しておくことで、スムースに個人塾を開業できます。
個人塾を開業するための流れと、各工程のポイントについて解説します。
(1)コンセプトを考える
開業準備を始める前に、まずはどのような個人塾にしたいのかコンセプトを考えておきましょう。
個別指導塾タイプや集団指導タイプなど、さまざまな塾の運営スタイルがあります。
また、受験に特化する塾や、普段の学校の授業ベースの塾など、塾に通う目的も異なります。
小学校低学年、高学年、中学生、高校生などターゲットとする年齢層によって教える内容が異なるため、コンセプトを明確にすることは大切です。
自分が理想とする塾の形を具現化し、個人塾の開業を目指しましょう。
(2)教室や設備の決定、講師の募集
個人塾の開業には、教室と設備、講師が必要です。
まずは、どの場所に教室を構えるのかを決めなければなりません。
想定される生徒数や立地を分析しましょう。
複数の学校から通えるエリアに教室を構えれば、生徒が通いやすいため集客が期待できます。
また、個人塾のコンセプトに合った教材やカリキュラムも決めた上で、必要な設備を揃えます。
そして、最後に想定される生徒数に見合った講師を募集します。
(3)開業手続き
個人塾の開業には、開業手続きが必要です。
会社として開業するのか、個人事業主として開業するのかを選択し、開業届を提出します。
個人塾の場合であれば、開業に向けて提出する書類は多くありません。
生徒数が多い場合は、消防法に伴う防火管理者の選任なども必要になりますが、基本的には開業届を提出しておくと開業は可能です。
(4)宣伝による集客
開業当初は認知度がないため、宣伝によって認知度を高める必要があります。
認知度が高まれば、生徒数も増えるでしょう。
宣伝方法としては、HPや看板の設置、新聞折り込みチラシ、SNS運用などが挙げられます。
個人塾において効果的な宣伝方法は、各家庭へのチラシ投函です。
塾に通いやすい商圏に対してチラシを投函すれば、興味を持つ家庭も多いので集客につながりやすいでしょう。
(5)開業
開業までの目安は3ヶ月~4ヶ月程度です。
物件を借りた後に開業までの時間をかけてしまうと、無駄な家賃を支払うことになります。
スケジュールを明確にし、無駄な時間とコストをかけずに開業することが大切です。
個人塾の開業を成功させるためのポイント
個人塾の開業で成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
個人塾の開業で押さえておくべきポイントは、以下の通りです。
(1)開業当初はコストを最小限に抑える
個人塾とフランチャイズの塾の大きな違いは、開業当初の知名度です。
個人塾は開業当初に知名度がほとんどない状態になるため、生徒数の確保に苦戦することが予想されます。
そのため、開業当初の少ない生徒数でも運営を継続できるように、開業当初のコストを最小限に抑えましょう。
限られた開業資金をいかに効率的に投下していくのかが、個人塾の開業当初の大きな課題といえます。
(2)固定費や運営費を抑える
個人塾は、宣伝広告などに投下できる資金が限られています。
知名度もないため、開業してすぐに生徒数が確保できるわけではなく、合格者の実績などを示すまで一定の期間を要してしまうでしょう。
前述したように生徒が集まるまでは時間がかかり、開業当初は年収も低い状態からスタートしなければいけません。
一定の生徒数が集まるまでは、固定費や運営費をできる限り抑えておかなければ、赤字経営になる可能性も考えられます。
事業が軌道に乗るまではコストをなるべく抑え、低い売上でも一定の収益が挙げられる体制を整えておきましょう。
(3)業務の効率化を高める
業務の効率が悪ければ、無駄な費用を投下することにもつながり、思った収益を上げられない要因になりかねません。
業務の効率化を高め、無駄をなくすことを常に考えるようにしましょう。
業務を効率的に行えるようになれば、生徒にかける時間を取れるようになります。
生徒の成績向上や、生徒数の増加など、塾経営のプラス要因につながると考えられます。
とくに経営に関する業務は不慣れなことも多くなるため、クラウド上での管理や税理士への相談など積極的に業務を効率化できる方法を取り入れることが大切です。
(4)成績を伸ばす方法を考える
塾に通う生徒の目的は、成績を伸ばすことです。
フランチャイズにはない個人塾の強みとして、生徒一人一人に対して柔軟性の高い指導ができる点が挙げられます。
個人塾だからこそ、生徒の苦手な分野を理解できるまでじっくり教えることができます。
成績が上がったという実績が増えるほど、生徒と親の満足度は高まり、退塾数が減少します。
口コミでの評判も高まり、集客面でも大きなプラス要因になります。
生徒の成績を上げるための指導方法やカリキュラム、勉強しやすい環境を整えることに尽力しましょう。
(5)効果的な宣伝広告を利用する
塾の経営では、常に安定した集客を心がけておかなければなりません。
学生を対象にしたサービスになるため、学生が学校を卒業すれば生徒数は減少してしまいます。
そのため、新入生に対して広告を継続的に行っておく必要があります。
学生の期間は限られているため、安定した塾経営には定期的な宣伝広告は欠かせないでしょう。
まとめ
個人塾を開業した場合の年収や開業費用、成功のためのポイントなどを解説しました。
個人塾経営は自由度が高いことや大手塾と差別化できるなどの強みはあるものの、開業当初は慣れない運営や集客の苦戦などによりつまずくことも少なくありません。
開業当初のつまずきが長引けば、経営の継続も困難になってしまいます。
フランチャイズに加盟して開業すれば、本部の知名度や経営ノウハウを活用して安定した収益を得られる可能性が高いといえます。
個人での開業とフランチャイズでの開業のそれぞれの特徴をしっかりと分析し、自分にとってメリットが大きい方法を選択して塾の開業を検討しましょう。